
工場の排熱を再利用して新潟県柏崎市産の「越後バナーナ」を栽培するシモダファーム(荒浜2)が、設立5周年を迎えた。強い甘みと無農薬栽培で皮まで食べられる越後バナーナをさらに広めようと、2025年夏以降、菓子にした製品の開発と販売に乗り出す。今後5年間で店舗展開なども視野に、社会、環境、経済の「循環」を理念に据え、さらなる事業発展を目指す。
シモダファームは、産業廃棄物処理業のシモダ産業が運営。設立5周年記念として、ファームの新事業の構想発表と賞味会を11月中旬に開いた。スイーツ販売、ファームで食べられる菓子の提供などの構想を説明。バナナを通じて地域内外の人が集う「シモダファームエリア」を手がけるプランも発表した。
賞味会では、県内外からパティシエら4人を招き、クレープ、カクテル、アイスなどを振る舞った。出席者はバナナの花や皮などを用いた珍しいスイーツを目で楽しみ、味わっていた。

越後バナーナを取り扱う青果店「五十嵐本店」(上越市)の五十嵐祥子取締役(52)は「バナナの出来は当初からどんどん良くなっている。地域全体で『越後バナーナ』という商品を育てていければいい」と構想に共感を示した。
▽「循環」理念ずっと
バナナ生産に取り組んだきっかけは、2017年に焼却施設を設置したことだった。焼却熱で熱くなった施設は常に水で外壁を冷やす必要があり、毎分200リットルの熱湯が発生する。霜田彰社長(77)は、外壁を冷やす時に生まれる熱湯を生かそうと、農業分野へ進出することにした。過去にフィリピンで食べたバナナのおいしさに感動したことから、バナナに決めた。
ファームでは、4棟の温室栽培施設で年間約2万5千本のバナナを収穫する。施設に張り巡らせたパイプに熱湯を通し、室内の温度を保っている。排熱利用によって年間で重油使用量18万8323リットル、電力使用量4801キロワット時、二酸化炭素排出量505トンを削減する効果があるという。

シモダ産業は...