
枯れた盆栽に輝きを-。新潟市西区の髙井一平さん(38)は、枯れた盆栽を洗って乾かし、染色した葉を付ける「ドライ盆栽」の技術で作品を制作し、独自に「枯吹(かぶ)き盆栽」と銘打って、販売やレンタルを手がけている。葉が一般的な盆栽にはない赤、青などに染まり斬新な一方、盆栽らしい和の雰囲気も醸し出す。制作できるのは「全国に5人ほど」という珍しい技術で、将来は海外進出も視野に入れる。
髙井さんは、新潟市中央区古町地区で宿泊施設を営んでいた2017年ごろ、障子に映った盆栽の影を「かっこいい」と思ったことなどから、盆栽に関心を持った。紙と粘土で作る「クラフト盆栽」に取り組むうち、枯れた盆栽を加工して作る「ドライ盆栽」があると知った。
首都圏の教室やオンラインで技術を学び、職業にしようと決意。宿泊施設を譲渡し20年、新潟市西区の自宅にアトリエ「SANOYOI-咲(さ)の宵(よい)」を構えた。作品は「枯れた盆栽に新たな価値を吹き込む」との思いから「枯吹き盆栽」と名付けた。アトリエ名の由来は「月が好きだから」などという。
枯れた盆栽は、盆栽園や個人から譲ってもらうことが多い。念入りに洗浄して汚れや枯れた葉、枝などを落とし、半年ほど乾かす。枯れた盆栽とは別の植物の葉に独自の加工と染色を施し、乾いた盆栽に接着剤などで固定する。枯れにくい加工をしており、水やりなどの管理は不要だ。

制作には少なくとも半年を要するが「直感的に作り上げていく感覚で、それが楽しい」と声を弾ませる。
現在、髙井さんの作品はホテルイタリア軒(新潟市中央区)、イベントスペースや会議室を備えた会員制施設「渋谷キューズ」(東京)などで常設中だ。10月に朱鷺メッセ(新潟市中央区)で開かれた「クールジャパンEXPO」など10件ほどのイベントでも展示された。
「枯吹き盆栽」と名付けたのは...