ロピア港北東急SC店の精肉売り場。精肉店が祖業のロピアは牛の一頭買いで多様な部位をそろえる=2024年3月、横浜市
ロピア港北東急SC店の精肉売り場。精肉店が祖業のロピアは牛の一頭買いで多様な部位をそろえる=2024年3月、横浜市

 イトーヨーカドー丸大新潟店(新潟市中央区)が1月26日に閉店し、半世紀近い歴史に幕を下ろした。イトーヨーカ堂(東京)は首都圏への事業集中を図り、新潟県内から完全撤退した。同社の完全子会社で新潟店を運営する丸大(新潟市中央区)はOICグループ(川崎市)に譲渡され、夏ごろには食品スーパー「ロピア」が出店する。百貨店として立ち上がった丸大の変遷などから、大型店に求められる役割の変化や小売業の今後の方向性を探る。(2回続きの2)

 「店舗には複数の経営者がいる」。OICグループ(川崎市)の広報担当者は、傘下の食品スーパー「ロピア」をこう表現する。

 OICグループは旧イトーヨーカドー丸大新潟店(新潟市中央区)を商業施設「シーナシーナ」に生まれ変わらせ、夏ごろに中核のロピアを入れる。鮮魚や青果などの部門長が店長と同格で、仕入れも含めて権限を持つ。実力主義で社員のモチベーションを刺激し、全国に店舗網を拡大している。

 県内の流通関係者の中には、新潟県に進出するロピアをディスカウントストアとみる向きもある。「価格相場が下落するのでは」と警戒する一方、業界内ではニーズを踏まえた「新たなスーパー」とする声もある。

 チェーンストアが普及した現在、魚屋や八百屋などの生鮮店は激減した。みずほ銀行出身の流通アナリスト、中井彰人氏は「現場スタッフの深い商品知識や毎日変わる旬の売り場など、かつての生鮮店のノウハウを消費者が求めるようになってきている」と語る。その「時代の変わり目」を捉え、対応したのが精肉店を祖業とするロピアであり、人気の鍵とみる。

 ただ、丸大新潟店の建物は...

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