
新潟空港を拠点とする航空会社トキエア(新潟市東区)が1月31日、就航1年を迎えた。地域活性化へ大きな期待を背負う地域航空は、一方でさまざまな課題を抱える。年末年始には機体トラブルで欠航が相次ぎ、安定運航の確保は最優先事項だ。佐渡就航では投入予定だった新型機の開発が中止され、計画の修正を余儀なくされている。試練の2年目へ向け、視界は晴れるのか。(報道部・清水祐子、樋口耕勇)=2回続きの2=
▽「重量制限」が足かせに
「佐渡島(さど)の金山」が2024年に世界文化遺産になった佐渡市。観光客の増加が期待される一方、空の玄関口、佐渡空港は13年末から定期便の休止が続く。海のしけに左右されず、首都圏と直接往来できる交通手段を-。観光や行政の関係者はトキエア(新潟市東区)が計画する佐渡-成田線の就航を待望する。元佐渡副市長で空路の必要性を訴えてきた佐渡新航空路開設促進協議会の親松東一会長(78)=佐渡市=は「関東圏とつながることは長年の悲願だ」と熱く語る。
佐渡空港は滑走路が890メートルと短く、就航できる機体が限られることがネックだ。トキエアはフランスのATR社が800メートルの滑走路に対応できるよう設計した新型機を充て、佐渡線を実現させる考えだった。
だが24年11月、ATR社は新型機の開発中止を発表。1200メートルの滑走路が必要だとされる従来機を運航の軸にせざるを得なくなった。佐渡線では、気象などの条件次第で乗客を減らす「重量制限」が必要になるとみられる。
重量制限については09年、県の検討委員会が佐渡と羽田を結ぶ構想の下、従来機と同規模の機種での試算をまとめている。その結果、滑走路が濡れた状態だと佐渡発の便で乗客が定員の半数以下になる想定がされていた。
乗客の減少は収入減に直結しかねない。県や佐渡市は以前も佐渡空路の航空会社に運航支援をしてきた経緯があり、親松さんは「赤字補塡(ほてん)が増えるな」と懸念をつぶやく。
トキエアは夏ダイヤ(3月下旬〜10月下旬)で成田の発着枠が確保できる見通しだ。就航日は未定だが、佐渡や新潟と成田を結ぶ便の運航を目指している。佐渡線はまずチャーターでの運航を視野に入れている。48人乗りの従来機を46人乗り仕様にして軽量化し、重量制限などの検証も進めている。長谷川政樹社長は「安全に運航できるオペレーションを構築するため、努力している」とする。

▽初年は「100点中50点」
既存路線の課題は利用促進だ。トキエアによると、...