1月に上越妙高駅前のオフィスに進出したアルス・ウェアーのオフィス=上越市大和5
1月に上越妙高駅前のオフィスに進出したアルス・ウェアーのオフィス=上越市大和5

 北陸新幹線が2015年に開業し、新潟県に上越妙高、糸魚川の二つの新幹線駅ができて3月14日で10年を迎える。人口減少が進む中、新たな活力をもたらすと期待された高速交通は人や地域にどのような影響を与えたのか。金沢-敦賀(福井県)間の延伸開業から1年がたち、関西方面へのアクセスも向上した地域のいまを考える。(上越支社・桑田実結)=4回続きの2=

 北陸新幹線の開業後、上越市の上越妙高駅周辺はIT企業の進出が相次いでいる。市は若い世代の雇用を創出するためIT企業の誘致に力を入れており、駅前を集積地にすることを目指している。新型コロナウイルス感染禍で地方回帰を模索する人が増える中、必要があれば新幹線ですぐ東京に行ける立地条件の良さをPRしてきた。

 上越市による家賃補助などを活用して駅前にオフィスを開設したのは8社。市産業立地課の竹内学副課長は「ITエリアとしての認知度が高まってきた。積極的に後押ししたい」と意気込む。

 IT企業が集まるきっかけになったのは、ITソリューション事業などを手がける丸互(上越市春日新田4)が2021年に開設したビジネス拠点「JM-DAWN(ジェーエム・ドーン)」だった。

 丸互はIT関係だけでなくプラスチック部品、金属加工なども事業領域とする。社長の前川秀樹さん(69)は「新幹線は北陸や関西に延びる。この大きな市場をターゲットに何かしないともったいない」と、北陸方面への進出を見据えた企業がオフィスを置ける施設を整備した。

 感染禍でテレワークが定着し、...

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