駅前にホテルやオフィスビルが立ち並ぶ上越妙高駅=上越市大和5(本社小型無人機から撮影)
駅前にホテルやオフィスビルが立ち並ぶ上越妙高駅=上越市大和5(本社小型無人機から撮影)

 北陸新幹線が2015年に開業し、新潟県に上越妙高、糸魚川の二つの新幹線駅ができて3月14日で10年を迎える。人口減少が進む中、新たな活力をもたらすと期待された高速交通は人や地域にどのような影響を与えたのか。金沢-敦賀(福井県)間の延伸開業から1年がたち、関西方面へのアクセスも向上した地域のいまを考える。(上越支社・桑田実結)=4回続きの1=

 上越妙高駅の西口に2024年11月、5階建てのオフィスビルが完成した。

 ビルを手がけた不動産業「飛田観光開発」は2018年にオープンした温泉施設を皮切りに、マンションやホテル、商業施設などを駅周辺に整備してきた。オフィスビルは北陸新幹線の開業前から構想されていたが、進出企業のニーズを探ったり、新型コロナウイルス感染禍を挟んだりして着手が遅れた。

 飛田観光開発は満床を目指して企業誘致を進めている。飛田観光開発の福島智美さん(48)は「このエリアで働く人口を増やし、駅前を常に活気のある場所にしたい」と意気込む。

▽「物足りなさ」感じる市民

 北陸新幹線の上越妙高駅は県内第3の都市上越の玄関口でもあり、首都圏方面からの新潟県玄関口でもある。上越市の高田駅から南へ約4キロ、妙高市の新井駅から約6キロ離れた旧脇野田駅の西側に整備され、周辺の約30ヘクタールを上越市が区画整理した。

 約9万6千平方メートルある駅周辺の商業地の開発は、開業から1年後に2割ほどしか決まっていなかったが、2025年2月末時点で9割に達した。ビジネスホテル3棟が建ち、出張客が利用できるコワーキングスペースも増えた。感染禍を挟み10年間でようやく開発が終わりつつある。

 新幹線開業の翌年から西口駅前でコンテナ商業施設「フルサット」を運営する...

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