
人手不足による採用難などを背景に、2025年春は新入社員の初任給を引き上げる企業が多い。大手では月30万円を超えるところもあり、新潟県内大学の卒業生は「求められる仕事の質が高くなる」と気を引き締める。物価高への対応や先輩社員との関係構築なども迫られる中、新社会人として、新たな門出に不安と期待を募らせている。
3月24日、新潟市中央区の朱鷺メッセで開かれた新潟大(新潟市西区)の卒業式。県外の化学メーカーに就職する男子学生(24)は「初任給は前年より2万円上がり29万円」とし、「仕事に対するプレッシャーはある」と明かした。
何より気になるのは、先輩社員が自分たち新入社員の給与をどう見るか。「先輩方もベアで上がってくれていればいいが」と願う。
先輩との関係性については、他の学生も懸念する。東京のIT関連企業で働く予定の男子学生(22)は、初任給は前年から据え置きの35万8千円。直近の先輩との差はないものの「氷河期世代は給料がなかなか上がらないと聞く。ちょっと気を使いそう」と話した。
県内を就職先とする学生は、波及効果を実感しにくい様子だ。21日に朱鷺メッセで卒業式を行った県立大(新潟市東区)の男子学生(22)は、県内の金融関係の企業で働く予定。「前の世代は分からないが、自分の初任給は約20万円。東京などに比べると、新潟だから低いのかなと感じる」とする。
賃上げの背景には、歯止めがかからない物価高もある。県内の金融関係の企業に就職する県立大の女子学生(22)は、日用品や食品などの物価高騰を実感しており、「会社を選ぶ際、条件が同じなら給料面を重視した」と言い切った。
若い世代は働きやすい職場環境を期待する。22日に三条市立大の卒業式を終え、東京に本社がある企業に就職する学生(22)は...