
農林水産省がまとめた2023年11月の「漁業センサス」からは、県内の漁業の置かれた厳しい状況が明らかになった。海や漁業の現状を考える新潟日報社の長期企画「碧(あお)のシグナル」でも昨年11月〜今年1月に海の漁業者を対象にしたアンケートを実施。漁獲量、収入の減少や担い手確保への不安が浮かんだ。一方、自然の中で仕事ができるといった漁の魅力も見えてきた。漁師たちのつぶやきを通し現状を探る。
県内の海で漁に携わる14漁業協同組合の組合員を対象に新潟日報社が行ったアンケート(527人回答)では、漁業の魅力として「海や自然の中で働ける」を挙げる人が238人(45%)と最も多かった。漁業を志した理由(二つまで回答)でも、「海や自然、水産物が好き」が308人(58%)で最多となった。
上越市の小山榮治さん(81)も、海や自然の中で働けることが魅力だと感じている。「なぎのいい時に船を浮かべて海に出る気持ちのよさ。朝日が昇るのを眺めながらの網上げ。普通は体験できない魅力」と笑顔を見せる。
定年退職後、本格的に...
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