鳥屋野潟南部開発計画に関し、花角英世知事宛の申し入れ書を提出した新潟市民オンブズマンのメンバー(右)=県庁
鳥屋野潟南部開発計画に関し、花角英世知事宛の申し入れ書を提出した新潟市民オンブズマンのメンバー(右)=県庁
鳥屋野潟南部開発計画に関し、花角英世知事宛の申し入れ書を提出した新潟市民オンブズマンのメンバー(右)=県庁

 新潟市中央区の鳥屋野潟南部地区の開発計画を巡り、新潟市民オンブズマン(谷正比呂代表)が30日、交通渋滞の深刻化が予想されるとして、根本的な渋滞緩和策などを講じるべきだと事業者に意見するよう花角英世知事宛てに申入書を提出した。

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 鳥屋野潟南部地区には大規模商業施設が2028年4月にもオープンする予定。設置者の大和ハウス工業(大阪市)などが「県にぎわいのあるまちづくりの推進に関する条例」に基づき、1月末に計画を県に届け出ていた。県は計画内容について5月中旬まで周辺住民らから意見を募る。

 オンブズマン側は、開発予定地周辺にはデンカビッグスワンスタジアムなどがあり、スポーツの試合やイベントがあるため渋滞が発生しやすいとして、申入書で開発が進めば地域住民の生活に影響が出るのは必至だと指摘した。開発で古町エリアなど新潟市中心市街地の空洞化がさらに進むとも主張。開発予定地周辺の埋め立てによる生物への影響にも懸念を示した。

 オンブズマンの斎藤裕弁護士は「市民の声を聞いて慎重に判断してもらいたい」と話した。

 新潟市民オンブズマンの申入書の内容は次の通り。

 鳥屋野潟南部交流拡大エリア開発について、新潟県に、「新潟県にぎわいのあるまちづくりの推進に関する条例」に基づき届出が出されました。
 しかし、同開発事業については、以下の問題点がありますので知事におかれましては、慎重にご検討の上、開発をすべきではない、少なくとも根本的な問題解消策を講ずるべきとの意見を述べるよう申し入れます。

1、新潟市中心市街地空洞化の悪化
 鳥屋野潟南部交流拡大エリア開発により、古町など新潟市の中心市街地から買い物客が一層奪われ、中心市街地の空洞化が悪化することは避けられません。
 新潟市においては、新潟三越閉店から5年を経過した現在でも、旧三越跡地の再開発が一向に進まない状況が続いています。鳥屋野潟南部交流拡大エリア開発により、同跡地の再開発が一層遅れていくことが懸念されます。

2、弁天線における渋滞の悪化
 現在でも、弁天線においては、特に、サッカーJ1リーグ・アルビレックス新潟の試合(ホームゲーム)がデンカビッグスワンスタジアムで開催される土曜日・日曜日等では、自動車が長時間全く動かない渋滞が発生しています。
 1試合あたり平均集客数2万人のアルビレックス新潟に加えて、1日あたり集約予定数5万6000人の鳥屋野潟南部交流拡大エリア開発がなされた場合には、前記渋滞が日常化し、地域住民の生活に重大な影響を与えることは必至です。

3、自然環境の破壊
 鳥屋野潟南部交流拡大エリア及びその周辺で開発予定の長潟第二地区は、準絶滅危惧種であるキタノメダカほか、モロコ、ヨシノボリ、ナマズ、多様なトンボのヤゴなど固有種の住処となっています。
 これらの地域を埋め立て、準絶滅危惧種を含めた固有種を絶滅させることは到底許容できません。

4、以上より、鳥屋野潟南部交流拡大エリア開発については、これを許さず、仮に認めるとしても根本的な渋滞緩和策・生物の居住エリアの除外等の措置をすべき旨の知事意見を出されるよう申し入れます。...