
サッカーの天皇杯全日本選手権が5月24日から始まる。格上チームを打ち破る「ジャイアントキリング(番狂わせ)」がしばしば話題をさらうこの大会。かつて番狂わせを演じた選手のその後は―。2023年、当時日本フットボールリーグ(JFL)だった高知ユナイテッドSCでJ1のG大阪を倒す大金星を挙げた、新潟市東区出身のFW小林心選手(24)に話を聞いた。
「それまでは、ずっと大舞台に弱くて、動きが鈍くなるというか…」
大舞台で自らの悪癖を拭い去ったストライカーが、今季J3の舞台で躍動している。高知に在籍し、今年が3年目。今季はJFLからチームと共にJ3へ昇格し、夢だったプロサッカー選手になった。リーグ戦の得点は5月23日時点で10と、トップを独走している。Jリーグの4月の月間表彰では、J3のMVPにも初選出された。
幼稚園の頃にサッカーを始め、小、中学生時代はグランセナ新潟でプレー。その後は北越高校、流通経済大学を経て、高知へ進んだ。

ポジションは幼少期からFWで、北越高校3年時にはU―18(18歳以下)プリンスリーグ北信越で得点王にも輝いた注目選手だ。ただ、全国高校選手権の県予選は決勝で敗退。帝京長岡に1―4で敗れ、全国へ進めなかった苦い思い出を「本当に何もできなかった。悔しさというより、むなしさがあった」と振り返る。大舞台で力を発揮しきれない自らの弱点は、流通経済大に進んでからも思うように拭えなかった。
転機となったのは高知に加入...
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