下地塗りの最初の工程の「木地固め」をする笠井俊裕さん。「きれいな仕上がりのためには下地が大切だ」と話す=新潟市南区能登2
下地塗りの最初の工程の「木地固め」をする笠井俊裕さん。「きれいな仕上がりのためには下地が大切だ」と話す=新潟市南区能登2

 県内には人々の暮らしや地場の産業を支えるあまたの職人がいる。連綿と受け継がれた技術を次代につなごうと、日々工夫を凝らしながら、奮闘を続けている。今に息づく伝統工芸などの担い手を紹介する。

 使い込み黒ずんだはけを滑らせ、木地に生漆(きうるし)を塗る。生漆は酸化し、クリーム色から褐色に変わった。

 笠井仏壇工芸(新潟市南区)の2代目、笠井俊裕さん(45)は4月末、木地から樹脂が出るのを防ぐ「木地固め」をしていた。下地塗りの最初の工程だ。

 「室温を30度にして柔らかく、塗りやすくする」と、常に漆の状態を気にかける。表面を滑らかにする下地塗り、凹凸がないか確認する中塗りを終えると、上塗りで艶のある黒や朱色に仕上げる。全体で1カ月半以上かかる。

 国が伝統的工芸品に定める「新潟・白根仏壇」の魅力を、笠井さんは「彫刻や金箔(きんぱく)などが施され、豪華絢爛(けんらん)なところ」と語る。

下地で塗った漆を紙でなじませる笠井俊裕さん=新潟市南区能登2

 白根仏壇の産地では...

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