裏白で彫りの作業をする高橋郁さん。木地に使われるのはホオノキやヒバなど製品によって異なり、「材質によって力の加減を変えている」と話す=村上市松原町3
裏白で彫りの作業をする高橋郁さん。木地に使われるのはホオノキやヒバなど製品によって異なり、「材質によって力の加減を変えている」と話す=村上市松原町3

 県内には人々の暮らしや地場の産業を支えるあまたの職人がいる。連綿と受け継がれた技術を次代につなごうと、日々工夫を凝らしながら、奮闘を続けている。今に息づく伝統工芸などの担い手を紹介する「技を継ぐ」。今回は、県北の城下町が紡いできた「村上木彫堆朱(ついしゅ)」の産地を訪ねた。

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 作業場に木地を削る音が響く。「裏白(うらじろ)」と呼ばれる専用の彫刻刀を巧みに動かし、すずり箱の表面にクジャクの羽の輪郭を形作っていく。高橋郁(かおる)さん(33)=村上市=は、国の伝統的工芸品の一つ、村上木彫堆朱で彫師を務める若手職人だ。「手彫りなので自分の作品でも一つずつ、職人によっても彫りに違いが出る」と語る。

 堆朱は、...

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