木村幹教授
木村幹教授

 「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録の際に韓国と合意した「朝鮮半島出身者を含む全ての労働者のための追悼式」が13日、佐渡市で開かれる。ただ、追悼式には韓国側が昨年に続いて欠席すると明らかにした。不参加の背景や今後の日韓関係の見通しなどについて、朝鮮半島地域研究が専門の木村幹・神戸大大学院国際協力研究科教授(59)に聞いた。(報道部・江森美奈子)

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-韓国が追悼式への欠席を表明しました。追悼の辞で朝鮮半島出身の労働者が「意思に反して動員された」という「強制性」の表現を巡って意見が折り合わなかったとしています。

 「韓国が日本に求める『強制性』とは、植民地支配下にあった戦時の労働者動員について違法性を認めることだ。背景に植民地支配自体が違法だとする韓国と、一部に逸脱があったにせよ、支配は合法的に行われていたとする日本の根本的な歴史認識の違いがあり、両国とも妥協できない点だ。言葉のすり合わせを続ける限り、状況は変わらないだろう」

-韓国の不参加は今後の日韓関係に影響しますか。

 「6月に就任した革新系『共に民主党』の李在明(イジェミョン)大統領は実用主義で内政を中心に考えるタイプ。外交や対日政策に特に関心があるわけではない。韓国内で日韓の歴史問題への関心がそう高くない現状で、米国との関係などから日本とむしろ協力したいという意識がある。日本が大きく反発しなければ今回の件を契機に日韓関係が悪化することはないだろう。鍵を握るのは日本側の政治状況だ」

-追悼式はどうあるべきでしょうか。

 「朝鮮半島から動員された人がいたのは佐渡だけではないし、世界遺産になったからといって佐渡だけが追悼式をやるのはそもそもおかしい。『全ての労働者のための追悼式』を行うのであれば、東京でまとめる形で行うべきだ。両...

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