
タイの首都バンコクの食堂であやされるタイ人家族の子ども=11月(共同)
歩道の舗装は凸凹でベビーカーを押すには極めて不向きだ。大通りでは旧式のバスやトラックが出す黒煙を吸い込まないよう、思わずわが子の口を押さえる。時々壊れた電線が頭上に垂れ下がる。そもそも年中常夏の暑さ。妻と1歳の長女とともに暮らすタイの首都バンコクは、子育てに適した環境とは言い難い。
それでも長女を抱きかかえ、果敢に街に繰り出したくなる。見知らぬ人から頻繁に「ナーラック」と呼びかけられるからだ。「かわいいね」を意味するタイ語。「ほほえみの国」らしい優しい笑顔を向けられ、励まされたような気持ちになる。
「タイ人は子ども好きが多い」と事前に聞いていたが、想像以上だった。高架鉄道やバスでは席を譲られ...
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