火災発生後、現場近くのトンネルに貼られたメッセージ。翌日には全て剥がされていた=1日、香港(共同)
 火災発生後、現場近くのトンネルに貼られたメッセージ。翌日には全て剥がされていた=1日、香港(共同)
 火災のあった高層住宅群近くに取り付けられた監視カメラ=25日、香港(共同)
 火災現場の高層住宅群付近に飾られた折り鶴の奥で、周囲を警戒する警察官=3日、香港(共同)
 撮影に応じる香港中文大の学生組織代表の郭嘉宝さん=25日、香港(共同)
 香港中文大の学生組織が活動していた部屋で撮影に応じる代表の郭嘉宝さん=25日、香港(共同)

 香港で161人が死亡した11月の大規模火災は、中国本土のような統制社会に変容する香港の現状を映し出した。市民の自発的な支援活動や大学生の追悼の動きは阻まれた。2019年の反政府デモを機に締め付けが強まる中、火災後に再び生まれた市民間のネットワークや連帯の機運は当局の圧力を受け一気にしぼんだ。

 ▽レノンウォール

 「一日も早い回復を祈る」「香港人、頑張れ!」。火災発生から5日後の12月1日、最寄り駅から現場に向かうトンネルの壁にメッセージが書かれた付箋が無数に貼られていた。多くの市民は応援や追悼の言葉に気付くと立ち止まり、胸を打たれた様子で眺めた。

 こうした市民の連帯を示す壁は、平和を訴えたビー...

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