2016年に公開され、数々の賞を取ったアニメーション映画「この世界の片隅に」の監督、片渕須直(すなお)(65)は日本大学芸術学部の3年生だった1981年、アニメ制作現場の様子を生き生きと語る教員の話に引き込まれた。
東映動画(現東映アニメーション)時代の話、プロとしての心構え…。技術的なことを学ぶ授業より、心に残った。学生に向けて話していたのは新潟市北区出身のアニメーター、月岡貞夫だった。
月岡はフリーアニメーターに転身後、うがい薬でおなじみの「健栄のカバくんシリーズ」といった多くのCMなどのアニメを手がけつつ、大学の教壇に立っていた。
片渕が教わっていた頃、月岡が作ったキユーピーのテレビCM「ピーターラビット」編が放送されていた。「ニンジンを食べるとひげがパチパチッと動く。それが本当にウサギらしくて生き生きしていた」。講義だけでなく、月岡の仕事ぶりは道しるべとなった。
実は片渕の人生の岐路には月岡が関わっていた。月岡同様、生家が映画館だった片渕が2歳の時に初めて見た映画が...
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