第4回新潟国際アニメーション映画祭「Indie Box(インディー・ボックス)」コンペティション部門の「ミュージカル・パイパーズ::ザ・パイド・パイパー」は、ミュージカル俳優を目指す主人公が差別に立ち向かい成長する姿を描いている。プ・ヒョジョン監督(26)は、自らの経験を基に、多様性と連帯のメッセージを作品に込めた。監督に映画制作への思いなどを聞いた。
──作品のアイデアが生まれたきっかけを教えてください。
ドイツに留学した学生時代に、いろいろな差別を経験しました。ちょうど、新型コロナウイルスがまん延していたときです。卒業の際に差別をテーマにした作品がこの世に必要なんだと思い、プロジェクトを始めました。
──プロジェクトとは何ですか。
4年前からYouTubeで「ミュージカル・パイパーズ」というプロジェクトを続けています。ミュージカルを専攻する学生、主人公のユージンとウェンディが、卒業公演「ザ・パイド・パイパー」のメインキャストを目指して練習と成長を重ねていく様子を、アニメで描き、公開してきました。完結編が、今回の作品となります。ただ、プロジェクトは今後もエピローグとして続いていきます。
──キャラクター設定を教えてください。
ユージンは、まさにマイノリティー性の象徴です。彼女のライバルであり、仲間でもあるウェンディは、純粋さが魅力のキャラクターですが、抑圧された面もあります。何かしらのマイノリティー性は、人の中にあるという象徴でもあります。彼女たちは異なる境遇を生きながらも、絆を結びつけていきます。
──制作でこだわったことは何でしょうか。
特に音楽と映像の融合です。歌詞やメロディー、演出のすべてがリンクすることに重点を置きました。今回のテーマの一つが連帯なので、グローバルにアーティストとの共同作業を目指したのですが、資金調達に苦労しました。
「ミュージカル・パイパーズ :: ザ・パイド・パイパー」のプ・ヒョジョン監督
──「作品を世に送り出すことは、ある意味で人々の心に種を蒔(ま)くことに似ている」と、映画祭の監督のプロフィルに記載してあります。
これまでアニメなどのメディアを通じて、多くのものを得て、私の世界観を形作ってきました。今度は私が、次の世代の若者に、映画をきっかけにポジティブな機会を提供していきたいと考えています。一文には、その思いが詰まっています。
──作品を通じて、どのようなメッセージを伝えたいですか。
差別や偏見に苦しんでいる人たちへ、希望を届けたいと思っています。ユージンの人生を通して、作品を見た方に社会の壁に立ち向かう勇気を与えることができればうれしいです。今回、Indie Box部門に選ばれ、とても光栄でうれしいです。観客の皆さんに、ポジティブなメッセージが届けられたらいいなと思います。
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◆「ミュージカル・パイパーズ :: ザ・パイド・パイパー」
韓国/2025年/18分/監督:プ・ヒョジョン
「ミュージカル・パイパーズ :: ザ・パイド・パイパー」
音楽専攻の学生、ユージーンとウェンディは卒業公演『パイド・パイパー』の主役を勝ち取るため練習を重ね成長していた。しかしユージーンは人種を理由に舞台に立つことを拒否される。この広大な世界では、もはや誰も魔法や奇跡を信じない。ユージーンはこの巨大な差別の壁を乗り越えられるのか?













