新潟国際アニメーション映画祭の閉会式・授賞式=25日、新潟市中央区
新潟国際アニメーション映画祭の閉会式・授賞式=25日、新潟市中央区

 世界中から多彩な作品を集めた「新潟国際アニメーション映画祭」の閉会式・授賞式が25日、新潟市中央区の市民プラザで開かれた。目玉の長編コンペティション部門のグランプリは「アラーの神にはいわれもない」(ベルギーなど、ザヴェン・ナジャール監督)が受賞した。今回新設された中編が対象の「インディー・ボックス」部門は「オートカー」(ベルギーなど、シルビア・シュキウォンツ監督)が輝いた。

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 審査委員長を務めたアニメ映画監督アヴィッド・リオンゴレンさん=フィリピン=は「すべての作品に独自の世界観があり、それを通じて、世界を見る目が広がった。審査員3人が一致して好きな映画を選んだ」と講評した。

 審査員賞は、長編部門が「ニムエンダジュ」(ブラジルなど、タニア・アナヤ監督)、中編部門は「ザ・ポップスター・ウォーター・ディアー・アンド・アイ」(韓国、イ・サシャ監督)が選ばれた。今回、新たに設けた両部門を通じて選出される新人賞には「ウィンター・イン・マーチ」(エストニアなど、ナタリア・ミルゾヤン監督)が輝いた。

 優れたスタジオに贈られる大川博賞は、映画「ひゃくえむ。」を手がけた「ロックンロール・マウンテン」(東京)が選ばれた。岩井澤健治監督は「監督と会社の運営という二足のわらじで大変だった。スタジオを評価いただけたのは、何よりうれしい」と語った。

大川博賞を授賞したロックンロールマウンテン代表の岩井澤健冶監督

 第4回の映画祭は20日から6日間の日程で開催。長編、中編部門に59の国・地域から計274作品の応募があり、その中からノミネートされた長編7作品、中編10作品を上映した。

◆イ・サシャ監督、タニア・アナヤ監督が喜び語る

 第4回新潟国際アニメーション映画祭の最後を飾る各賞の授賞式では、来場している2人の監督の作品が審査員賞を受賞。それぞれ喜びを爆発させた。

 中編「Indie Box(インディー・ボックス)」部門「ザ・ポップスター・ウォーター・ディアー・アンド・アイ」のイ・サシャ監督は名前を呼ばれると飛び上がって喜びを表現。陽気なアヴィッド・リオンゴレン審査員長(フィリピン)がひざまづいてトロフィーを渡すと、自らも姿勢を低くして受け取り、会場の笑いを誘った。

長編部門の審査員賞を受賞したタニア・アナヤ監督(右)と中編部門の審査員賞を受賞したイ・サシャ監督=2月25日

 イ・サシャ監督は「全然予想してなかったので、本当に軽い気持ちでここに来たが、受賞できて本当にうれしい」と喜びをかみしめ「この映画を初めてつくった時は、自分自身が悲しみの中でした。それから3年が流れ、人々がこの映画を好きになってくれて、審査員の方々も楽しんでもらえて、とても感謝しています。これからも頑張って生きようと思っています」と語り、会場の大きな拍手に包まれた。

 長編コンペティション部門では、「ニムエンダジュ」のタニア・アナヤ監督が長編部門審査員賞を受賞。周りにいたほかの監督らから祝福を受けながら登壇し、プレゼンターのホセ・ハビエル・フェルナンデス・ディアス審査員に力強く抱きしめられた。タニア・アナヤ監督は「このような賞を取れて本当にうれしいし、とても有意義な日々となりました。この賞は私だけでなく私のチーム全体に行くものであり、こちらにいる同僚の(監督の)皆さんとも共有したい」と緊張した面持ちで語った。

 西アフリカの少年兵を描いた長編グランプリの「アラーの神にはいわれもない」のザヴェン・ナジャール監督は「グランプリ受賞を大変光栄に思います。アマドゥ・クルマの(原作)小説が私たちの心に響き、悲しいことに今も響き続けています。世界中で多くの子供たちが紛争の中で利用され、搾取されているのです」と受賞のメッセージを寄せた。また「インディー・ボックス」部門ではグランプリに当たる「スワン賞」を少女の幻想的なバスの旅を描いた「オートカー」が受賞した。

 授賞式の後、タニア・アナヤ監督は映画祭を振り返り「本当に素晴らしい時間を過ごした。他の人たちと対話する機会がたくさんあった。新潟市が(共催に)関わってくれたことで新しい世代のフィルムメーカーたちを育ててくれたり、新しい作品も生まれてきたりする可能性があるのではないか」と話した。イ・サシャ監督は、「フェスティバルのスタッフの皆さんがとても親切で、携帯をなくしてしまったが、警察署に連絡したり、あちこちに連絡してもらったりして、いろいろとお世話になりました」と感謝の言葉を述べた。