ゴジラ博in新潟のキービジュアル TM & © TOHO CO., LTD.
ゴジラがついに新潟に上陸へ-。第1作の「ゴジラ」(1954年)から第30作「ゴジラ-1・0(マイナスワン)」(2023年)までの世界観と裏側を詰め込んだ「ゴジラ博in新潟」が18日から新潟市中央区の新潟日報メディアシップで始まります。全30作でゴジラが新潟県に現れた例はありません。今回の初上陸に合わせ、ゴジラ映画の裏側を知り尽くしたプロに楽しみ方を聞きました。
取材に答えてくださったのは、ゴジラシリーズ、平成ガメラシリーズを始め、多くの作品に携わった特撮美術デザイナーの三池敏夫さん。そして、平成ゴジラシリーズでキングギドラやベビーゴジラなどのスーツアクターを務めた破李拳(はりけん)竜さんのお2人です。
ゴジラへの熱い思いを語り合う三池敏夫さん(右)と破李拳竜さん
-早速ですが、見どころを教えていただけますか。
三池さん 「今回の展示がどういうラインアップになっているか分からないんですよね。東京の展示には行ったのですが、だいぶ変わるのかな?」
-今回はモスラ初登場から65年、平成モスラ3部作から30年ということで、モスラが来るそうです。かなり大きいですよね。
三池さん 「うーん。どのモスラが来るかによるんですよね」
破李拳さん 「大きいのは羽を含めて7メートルとかになるからね」
-そんなに大きいんですね。メディアシップ20階のそらの広場に入りますかね。
三池さん 「ものによってはもっと小さいけど、それでも3、4メートルはあるかもね。モスラといえば、『ゴジラVSモスラ』(1992年)で、破李拳さんはバトラの幼虫に入ったよね。もともと入る予定だった人が、動けなくなっちゃって」
破李拳さん 「そうそう。絵コンテを現場に届けに行ったら、まさにその状況になっていて、ちょっと入ってくれって言われた。でも、スーツのサイズが合わなくて窮屈だし、前も全然見えなくて。芋虫の形なので、はうように動くんだけど、まっすぐ進め、下手くそ、って怒られてね。大変だった」
-破李拳さんはキャンペーンなどではゴジラスーツにも入っていますが、一番大変だったのはどれですか。
「中に入る人は大変だろうなと思って見てほしい」と話す破李拳竜さん
破李拳さん 「1995年のVSデストロイアのゴジラ。ものすごく重くて、1回入ったけど、歩いたら床が沈むんじゃないかという感じだった」
-ゴジラスーツって重さはどれくらいですか?
破李拳さん 「平均だと60キロくらいかな。デストロイアのときは100キロあった」
三池さん 「デストロイアのゴジラは電飾を入れたり、蒸気を出す配管を通したりしているから、通常のよりかなり重い。蒸気の配管は尻尾の方から外に出したんじゃないかな」
「あと、目が光るタイプのゴジラスーツは、白目がないので、そのあたりも展示では見てほしいですね」
-ゴジラスーツにはどのあたりにのぞき穴があるんですか?
破李拳さん 「基本的には首のあたり。ただ、展示では埋めちゃっていて分からないかもしれない」
-頭の部分は首で支えるんですね。かなり大変そうです。
破李拳さん 「頭の大きいベビーゴジラに入ったときは、首と肩周りをかなり鍛えた。入るスーツによって鍛える部分が違うんだけど、それでアクションもするのでかなり大変。故薩摩剣八郎さんは、デストロイアのときで60歳手前だったから、本当にすごいと思う」
-ゴジラスーツと言えば、阿賀野市(旧水原町)出身の故小林知己(ともき)さんが手がけたものもありますね。
破李拳さん 「1989年のVSビオランテは全部小林さんがやったと聞いている。このときからゴジラの歯が2列になった。でも、師匠の故安丸信行さんが、『頭は俺が作った』って後で言ってて」
「ぜひ、細かい部分までじっくり見てほしい」と語る三池敏夫さん
三池さん 「ともさん(小林さん)が全部作ったと思うよ。造形の人は本当に多くの仕事を抱えていたから、だんだん分かんなくなるんだろうね」
「たぶん今回も展示されるけど、1984年の『ゴジラ』で、サイボットっていう、ゴジラの頭だけのメカを作ったのね。原型はスーツと同じのを使ったはずなのに、安丸さんが『スーツはもっとかっこよくしといた』って言うのよ。結局、サイボットの顔と、スーツの顔が全然違うわけ。これは困ったね」
「このサイボットは表面ははがされているけど、その分、メカとか仕掛けがよく分かる。CGがない時代の現場の工夫がよく分かってもらえると思う」
破李拳さん 「コンピューターで動くからNGがないのがいい、って当時も言われていた。どれだけ気をつけても現場の状況次第で、人間では完全に同じ動きができないけど、サイボットはできちゃう」
-ゴジラの造形は毎回、少しずつ違いますよね
三池さん 「職人の仕事だから個性が出る。そういうところも見比べてもらえるといいですね。顔つきだけでなく、ぜひ後ろに回って背びれの形とか、肌の質感なども比べてもらいたい」
破李拳さん 「『ゴジラ・モスラ・キングギドラ』(2001年)のゴジラはとにかく大きいし、『FINAL WARS』(2004年)は動けるゴジラ」
三池さん 「そうそう。すごくスリムなんだよね」
「ゴジラスーツはウレタンやラテックスでできているんだけど、撮影でかなり劣化しちゃう。爆破シーンもあるしね」
「そういう意味では、ミレニアムシリーズに登場するメカゴジラ『機龍』のスーツは、繊維強化プラスチック(FRP)と硬質ゴムでできているので、きれいに残っている。しかも、メカの形なのにきちんと動けるように関節まで作り込んであるので、これはぜひ、詳細に見てほしい」
-ゴジラ博の最大の目玉はマイナスワンの世界観が再現されたジオラマコーナーです。東京会場で写真を撮ってみたんですが、いまいちでした。こつはありますか?
三池さん 「スマートフォンだと下から見上げるのが基本ですね。立ったまま撮影するゴジラはスタッフの目線です。臨場感がほしいなら、出演者の目線を意識してとにかくジオラマの人の目線の高さから見上げるように撮影してみると、ゴジラの大きさが伝わるはずです」
「ゴジラスーツも下からあおる感じで撮ってほしい。そうすると天井などが写ってしまうが、最近のスマホは背景を空に加工したりできるので、そういう工夫で乗り切れると思う」
「また、ミニチュアはかなり丁寧に作り込んでいるので、ゴジラと絡めなくても、ミニチュアだけの写真もぜひ撮影してほしい。角度や撮り方を工夫すると、本当の町にしか見えない一枚が撮れると思います」
-今年はマイナスワンの続編も公開予定です。米国のハリウッド版も新作が出るという話で、楽しみですね。
破李拳さん 「マイナスワンがアカデミー視覚効果賞を受賞して、日本の特撮が世界を制しました。何度も危ない時代があったが、ゴジラがこうやって続いてきたことが本当にうれしい」
「以前、米国を訪れた際に、ハリウッド版のモーションアクターをした方と会えたら、平成ゴジラにすごく詳しかった。米国のマニアでは『トクサツ』という言葉がそのまま通じる。ゴジラシリーズの広がりを感じています」











