2026年3月、春場所千秋楽で技能賞のトロフィーを持つ藤ノ川=エディオンアリーナ大阪
2026年3月、春場所千秋楽で技能賞のトロフィーを持つ藤ノ川=エディオンアリーナ大阪
2026年3月、春場所3日目で大の里(右)を攻める藤ノ川=エディオンアリーナ大阪
大の里戦で獲得した懸賞金21本の束=大阪府松原市の伊勢ノ海部屋宿舎、甲山親方提供
小学校低学年の藤ノ川=両国国技館、甲山親方提供
2026年3月、春場所の土俵下で出番を待つ碇潟=エディオンアリーナ大阪
相撲進級試験での成剛(左、現藤ノ川)と忠剛(現碇潟)=両国国技館、甲山親方提供
少年時代に砂浜で対戦する成剛(左、現藤ノ川)と忠剛(現碇潟)=藤ノ川提供
2026年3月、春場所4日目で藤ノ川(左)ははたき込みで豊昇龍を破る=エディオンアリーナ大阪
親子4人で記念撮影。最後列が甲山親方、真ん中左が長男成剛(現藤ノ川)、右が二男忠剛(現碇潟)、最前列が三男夕剛=京都市の大原野神社、甲山親方提供

 2026年3月の大相撲春場所3日目から一夜明けた午前、甲山親方(53)=元幕内大碇、本名斎藤剛(さいとう・つよし)、京都府出身、伊勢ノ海部屋=の背後で不意に、何かが置かれた音がした。「ドサッ」。懸賞金21本の束だった。前日に初金星を挙げた長男、藤ノ川(21)=本名斎藤成剛(せいごう)、京都府出身、伊勢ノ海部屋=からの粋な恩返しだ。それは13年前に妻が急逝した後、息子3人と懸命に歩んできた努力の結晶でもあった。(共同通信=田井弘幸)

 ▽決まり手は「ひ、ひきおとし~」。野太い声が上ずった

 甲山親方は大阪府松原市の部屋宿舎にいた。朝稽古が終わり、ちゃんこを食べて自室でくつろいでいた。するとその時だった...

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