京都府八幡市のサクセスプランニング株式会社が、本学システム工学部・榎教授(副学長)の研究室との共同研究により、熊対策防護服「熊テクター」を開発しました。


●共同研究のきっかけ

同社は「身を守る商品で社会貢献を」をミッションに、不慮の事故や犯罪から身を守る耐刃仕様の防災防護服をはじめさまざまな防護製品を製造・卸しを行ってきました。

近年、全国的にクマによる人的被害が相次ぐ中、防護装備の必要性が高まっています。こうした社会的課題を背景に、同社はクマ専用の防護服の開発に着手しました。その過程で、「クマの攻撃力を想定した耐久性実験を実施できないか」との相談があり、システム工学部の榎教授が技術的支援を行うこととなりました。

●耐久性実験

実験では、振り子式の衝撃試験機を用いて、クマが前脚を振り下ろして引っかく動作を想定した荷重を負荷しました。一般的なニット生地と、クマ対策防護服用に開発された生地を装着したおもりを、ツキノワグマの爪を備えた前脚のはく製に向けて振り下ろし、素材へのダメージを比較しました。

実験の計画立案や装置の準備、試験の実施、データの収集・分析には、榎研究室の学生が主体的に参画しました。学生たちは企業担当者と意見交換を重ねながら実験条件の検討や評価に取り組み、実社会の課題解決に向けた研究活動を経験しました。

実験の結果、一般的なニット生地は爪による損傷で大きく破れた一方、クマ対策防護服用の生地は表面にわずかな傷が認められる程度であり、高い耐久性を有することが確認されました。これらの実験結果は、防護服の設計改良や性能評価に活用されました。

●産学連携の成果

本共同研究は、企業が持つ製品開発力と大学が有する実験・評価技術を融合させることで、新たな社会課題の解決につながる製品を創出した事例です。大学で実施した耐久性実験により、防護服の性能を科学的に検証することができ、製品開発の信頼性向上に大きく貢献しました。

また、本研究は学生にとっても、企業との共同研究を通じて社会課題の解決に取り組む貴重な学修機会となりました。研究室で培った工学的知識や実験技術を実際の製品開発に応用する経験は、実践的な技術者教育の場としても大きな成果を上げています。

こうして開発された「熊テクター」は、クマ被害対策に従事する自治体職員や一般住民などの安全確保に役立つことが期待されています。本事例は、大学の研究成果や技術的知見を社会実装へとつなげる産学連携の成果であり、地域社会が直面する課題解決に貢献する取り組みとして注目されています。

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