間近に迫る次期衆院選の新潟4区では、2012年以来、事実上の与野党対決を繰り広げてきた候補者の顔触れが変わる。7期目を目指す立憲民主党現職の菊田真紀子氏(51)に対し、自民党新人で前三条市長の国定勇人氏(48)が挑む。熱を帯びる前哨戦で、菊田氏は街頭活動に力を入れて支持固めを図り、国定氏は知名度がある大票田・三条市で活動量を増やしている。決戦の日を意識した両陣営の動きを追った。
◆菊田氏陣営 街宣に注力、足場固め
無所属で出馬した2017年の前回選から4年。立民候補として臨む現職の菊田氏は、通常国会が閉会した6月下旬以降、次期衆院選をにらんだ活動を本格的にスタートさせた。新型コロナウイルス感染が拡大する県内の状況を考慮し、集会は見合わせ、街頭での活動で足場固めを図る。
今月1日には、立民参院幹事長の森裕子氏(新潟選挙区)と共に地元・加茂市全域で街宣活動を展開。演説会場では、集まった支持者約50人に「(新型ウイルス対策などの)責任を放棄しているのが今の自民党。野党は今度の選挙で、命がけで戦わないといけない」と熱弁を振るった。
本県国会議員で最も長い6期18年の経歴を誇る菊田氏。地元に張り巡らせた分厚い後援会組織が強みだ。
さらに次期衆院選に向けて連合新潟の推薦を取り付けた。前回と同様、共産党が候補を立てない形で側面支援すれば、野党支持層を固められる見通しだ。
一方で、従来から指摘される支援者の高齢化という課題がある。今年、菊田氏を長く支えた滝口恵介元県議が83歳で亡くなった。ある陣営関係者は「企業へのあいさつ回りで先頭に立ってくれていた。影響は小さくない」と肩を落とす。
さらに、今回は12年以降の3回と相手が異なり、前三条市長の挑戦を受ける。選対本部長を務める小島晋県議は「かなり厳しい戦いになる。大票田の三条市で、いかに浮動票を取り込むかが鍵になる」と気を引き締める。
◆国定氏陣営 大票田・三条市へ軸足
「今日を皮切りに、再び三条市内の一軒一軒に分け入り、皆さんのお話を頂戴する。それをエネルギーに換え、総選挙に臨みたい」
国定氏は今月6日、三条市内で開かれた同地区後援会の役員会で訴えた。市長時代に交流があった地元商工関係者ら約100人を前にし、口調は熱を帯びた。
昨年10月の市長辞職後、「前市長」という圧倒的な知名度がある三条市でのあいさつ回りは妻に任せ、本人は浸透が不十分な市外での活動に注力した。だが、8月に入って本人も同市での活動に軸足を切り替え、7日には市内で300人規模の集会を開くなど矢継ぎ早に活動を展開する。
4区全体の4分の1超を占める大票田・三条市では2017年の前回選挙で、自民候補が菊田氏に6千票差を付けられた。国定氏は知名度を生かして、ここで大勝し、得票を稼ぐ狙いだ。
あいさつ回りの「引き回し役」は、4区内の自民県議や保守系の市町議が積極的に担う。ある市議は「訪問時の企業や住民の感触がすこぶるいい。県議や市議の熱量も前回選挙とは違う」と手応えを語る。
楽観的な見方がある一方で、「前三条市長」の肩書き頼みともいえる活動に懸念の声も上がっている。
旧3区時代から自民候補を応援してきた、あるベテラン三条市議は「市長を辞職した直後は“国定フィーバー”があったが、既に雰囲気は薄れている。企業関係者の支持は、陣営の期待ほど得られていないのではないか」と警戒する。