安倍政権から菅、岸田政権へと続いた4年間の政治に有権者はどんな審判を下すのか。衆院が解散された14日、事実上の選挙戦が始まった。31日の投開票日までわずか17日間の短期決戦。新潟県関係の前議員たちは仲間と「また戻ってきましょう」と誓い合い、慌ただしく地元へ向かった。一方、この日を待ちわびていた元職や新人の候補予定者も走り始めた。
◆「何としても戻る」 前職、表情引き締め
午後1時すぎ、衆院本会議場で解散詔書が読み上げられると、与党の多くの議員が両手を挙げ、高らかに万歳三唱した。
しかし、立憲民主党の菊田真紀子さん(51)=4区=は「国会がようやく開いたと思ったら、新型コロナウイルスの対応を全く審議せず閉じられた」と憤り、万歳はしなかった。「一人一人に寄り添う政治を今こそ実現する」と語った。
一方、万歳三唱の練習を重ねてきたというのは自民党の1期生、泉田裕彦さん(59)=5区=。「4年間で実感したのは地方の声が届きにくいこと。豪雪地の議員は特に少ないので、パイプ役であることを訴えたい」と表情を引き締めた。
与党・自民党は感染症対策のさらなる充実を訴える。同党の斎藤洋明さん(44)=比例北陸信越=は「新型ウイルス対策では医療面だけでなく、子どもや高齢者らの暮らしを支える経済施策を示していく。何としても勝って戻ってきたい」と話し、足早に議場を後にした。
同党の高鳥修一さん(61)=6区=は「自公政権か、野党共闘政権かを選ぶ選挙だ。感染症対策を当然進めるが、弱者に対する経済対策を実行したい」と力を込めた。本会議が終わると同僚とグータッチをし「頑張ろう」と励まし合った。
本会議後、東京・永田町の自民党本部では公認証が交付された。
現職2人の約2年半にわたる争いの末、2区の公認に決まった細田健一さん(57)=比例北陸信越=は公認証を受け取り、笑顔を見せた。「地元の後押しがなければ公認は出なかった。新型ウイルス対応を含めて、自民党を評価してもらうことになる」と気合を入れた。
比例北陸信越ブロックの単独公認となった鷲尾英一郎さん(44)=2区=は、所属する派閥を率いる二階俊博前幹事長から激励される場面も。「順位が確定していないが、自民党として恥ずかしくない戦いをしたい」と決意を語った。
ほとんどの前職は大急ぎで地元に戻った。立憲民主党の西村智奈美さん(54)=1区=は14日夕、JR新潟駅前で声を張り上げた。「岸田政権は経済政策や新型ウイルス対策などの中身を明らかにしなければならなかったが、論戦から逃げた」と批判のボルテージを上げた。
同党の黒岩宇洋さん(55)=3区=もマイクを握り、自民党の「政治とカネ」の問題を厳しく批判。「どうか私たちを選択してほしい」と政権交代の必要性を訴えた。演説が終わるとすぐ、地元に向かう特急列車に乗り込んだ。
◆「選択の時が来た」 元職、新人気持ち新た
県内各小選挙区で立候補を表明している元職、新人たちは、異例の短期決戦に気持ちを新たにした。
自民新人で前参院議員の塚田一郎さん(57)=1区=は東京の党本部で公認証を受け取った。仲間と健闘を誓い合い、「政権選択の選挙。全力で向かっていきたい」と力を込めた。
自民新人の国定勇人さん(49)=4区=は、三条市長を辞職し丸1年の節目に解散が重なった。長岡市の栃尾地区で決起集会を開き「投開票日まで走り抜ける」と声を張り上げた。
立民新人、梅谷守さん(47)=6区=は上越市の中山間地を車で回った。街頭演説では「選択の時が来た。今の政府で、皆さんの暮らしは良くなっただろうか」と問いかけた。
共産党新人の平あや子さん(41)=2区=は新潟市内で選挙準備に当たり、「貧困や格差を無くして暮らしを応援する政治へ変えたいと決意を新たにしている」と語った。
日本維新の会元職の石崎徹さん(37)=1区=は、新潟市中央区の事務所でテレビの国会中継に合わせて万歳。「維新旋風を起こしたい。再スタートの選挙だ」と気合を入れた。
国民民主党新人で前県議の高倉栄さん(50)=2区=は、新潟市内で支援組織と選挙態勢などを協議。出席者を前に「もう選挙モード。走り抜いて勝ち抜く決意だ」と訴えた。
事実上の野党統一候補で無所属新人の米山隆一さん(54)=5区=は長岡市の街頭で「岸田さんでは何も変わらない」と気勢を上げた。取材に「全力でやり抜く」と力強く語った。
前長岡市長で無所属新人の森民夫さん(72)=5区=は、朝から長岡市の路上で手を振り、関係先にあいさつ回りをした。「改めて気を引き締めて頑張る」と表情を崩さなかった。
立候補を予定する前参院議員の風間直樹さん(54)=6区=は、事務所によると、都内で打ち合わせに臨んだという。事務所を通じ、「すでに号砲は鳴っている」とコメントした。