衆院選が19日公示され、新型コロナウイルス感染下での論戦が始まった。新潟県内6小選挙区では首長経験者の三つどもえや、前回接戦だった候補の一騎打ちなど、各区で激戦が予想される。立候補者は第一声で、新型ウイルス対策や経済政策などで熱弁をふるった。支持者との握手を自粛し、集会でも感染対策を徹底しながらの選挙戦。候補者の政治に懸ける思いは有権者に届くか。
【1区】
維新元職の石崎徹さん(37)は新潟市中央区の万代シテイで「与党か野党かの二者択一ではなく、3番目の選択肢がある」と声を張り上げ、見守った支援者らに駆け寄った。
自民新人の塚田一郎さん(57)は新潟市中央区の古町十字路で、スーツ姿の支持者を前にマイクを握り、「活気ある新潟を取り戻す。古里のために必ずやる」と力を込めた。
立民前職の西村智奈美さん(54)は、新潟市中央区のJR新潟駅前で第一声。似顔絵を描いたうちわを持つ支持者に「成長の前に再分配。社会保障制度を立て直す」と訴えた。
【2区】
2区は再稼働問題に揺れる東京電力柏崎刈羽原発を抱える。
国民新人の高倉栄さん(50)は燕市で出陣式を行い、「原発の再稼働は県の『三つの検証』が終わらない限り断じて許さない」と声を張り上げた。2030年代の原発ゼロを目指し、再生可能エネルギーの拡大で「新しいエネルギー政策を構築する」と語った。
自民前職の細田健一さん(57)は新潟市西蒲区で「新型ウイルスで苦しむ中小企業や飲食業などの皆さんに国の支援を届ける」と訴えた。経済産業副大臣の立場を強調し「政府の中から声を上げ、全力を尽くしたい」としたが、演説では原発に触れなかった。
共産新人の平あや子さん(41)は柏崎市内で第一声。他の候補者は原発推進か、再稼働を容認する立場の党の所属だとし、「新潟2区で再稼働ストップ、原発ゼロと正面から堂々と訴えられるのは私ただ一人だ。投票日まで力の限り訴える」と支持を求めた。
【3区】
前回2017年衆院選で、全国最少50票差の大接戦となった3区。候補者2人の対決は4度目となった。
立民前職の黒岩宇洋さん(55)は新発田市中心部の事務所前で出陣式を行った。「必勝」のはちまきで気合を入れ「金融所得課税を上げることは一丁目一番地。そして農業の戸別所得補償制度は、都会から地方への最大の分配政策だ」と声を張り上げた。
自民前職の斎藤洋明さん(44)は新発田市の諏訪神社にスポーツウエア姿で登場。表情を引き締めて第一声を上げ「都会の地方税の財源4200億円を地方に再分配できた。やればできないことはない。大事なのは地元の政治基盤だ」と拳に力を入れた。
【4区】
立民前職の菊田真紀子さん(52)は、三条市の選挙事務所前で6期18年の経験をアピール。「不祥事だらけの政治を終わらせ、庶民の手に政治を取り戻そう」と訴えた。
自民新人の国定勇人さん(49)は、三条市の選挙事務所前で「市長を辞してから1年、地域を回り続けた。共有した課題を一緒に解決させてほしい」と声を張り上げた。
【5区】
首長経験者3人の激突が注目される新潟5区では、3人がともに大票田の長岡市内で第一声を上げた。
前知事で事実上の野党統一候補の無所属新人、米山隆一さん(54)はアオーレ長岡前に立ち、アベノミクスが富裕層以外の暮らしを苦しくしたと批判。「額に汗して働く人、困っている人、若者の未来を切り捨てた。そんな政治は終わりにしよう」と熱を込めた。地域医療や農業の安定した持続を掲げ、「一人一人の命が守られ、生活が豊かになる政治を全力でつくる」と締めくくった。
前長岡市長で無所属新人の森民夫さん(72)は、山古志竹沢のやまこし復興交流館おらたる前で、住民ら約40人を前に第一声を張り上げた。支援者の提案を受けて山古志を選んだと明かし、2004年の中越地震時の山古志村長で、復興に尽力した故長島忠美氏の思いを受け継ぐとした上で「災害に強いまちを作らなければならない。それが私の使命だと思っている」と拳を力強く握った。
JR長岡駅東口前で訴えを繰り広げたのは、元知事で自民前職の泉田裕彦さん(59)。新型コロナウイルス対策を巡り「選挙後は速やかに、困っている人への支援策や投資を含めた経済政策に取り組む」と強調した。豪雪地選出の議員が少なく、現場の声が届きにくいとし、「与党の中から雪国の暮らしをいいものにしたい。東京から人が来たくなるような政策をつくっていく」と力を込めた。
【6区】
立民新人の梅谷守さん(47)は上越市木田1の事務所前で出陣式を行い、「疑惑をごまかす現政権に、未来を語る資格はない。日本の閉塞(へいそく)感を打破する選挙だ」と強調した。
自民前職の高鳥修一さん(61)は上越市の上越文化会館前で第一声。「命と暮らしを守る災害対策にしっかり予算を付ける。全身全霊で戦う」と力を込め、選挙カーに乗り込んだ。
無所属新人の神鳥古賛さん(53)は19日午前、県選管に立候補を急きょ届け出。上越市の高田城址(じょうし)公園で、「ワクチン接種に反対。消費税を廃止したい」と話した。
【比例北陸信越ブロック】
本県関係の各党の比例北陸信越ブロック単独候補も小選挙区候補の応援演説などで党への支持を訴えた。
自民前職の鷲尾英一郎さん(44)は新潟市西蒲区で、直前まで公認を争った2区の自民候補の第一声に駆け付けた。「この地に必要な能力こそ、皆さんが押し上げようとしている人だ。立派な成績で勝たせていただきたい」とエールを送った。2人がグータッチする場面もあり、その後の演説にも同行した。他の選挙区でも自民公認候補の支援に回る方針。
立民新人で打越さく良参院議員秘書だった石本伸二さん(60)は4区の立民候補に随行して三条市などを回り、チラシ配りなどを手伝った。
社民新人の五十田裕子さん(60)は地方議員らと新潟市内を街宣。演説を行い、比例での党への投票を呼び掛け、護憲や脱原発などを訴えた。