31日投開票の衆院選は中盤戦に入ったが、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題など原発・エネルギー政策を巡る論戦が低調だ。公示後の22日には、政府の中長期的な政策指針「エネルギー基本計画」が改定されたが、街頭演説などでこうした話題に触れる候補は少ない。東電の失態が相次いだことで当面、再稼働を巡る動きは凍結されており、県民の関心の優先順位が一時的に下がっていることも背景にありそうだ。

 柏崎刈羽原発が立地する新潟県柏崎市。衆院選が公示された19日、同市を含む新潟2区に立候補した2人が街頭演説で、原発・エネルギー問題について訴えた。

 共産党新人は「原発はいらない。再稼働ストップ」とアピールした。

 国民民主党新人も「2030年代に脱原発を目指す」と声を張り上げた。

 一方、この2人と争う自民党前職が、あえてこの問題に触れる場面はほとんど見られない。

 2区以外の選挙区に立候補した各候補も言及しないか、触れてもわずかだ。

 4、5、6区は、事故時の避難計画策定が義務付けられた原発から半径30キロ圏の避難準備区域(UPZ)の自治体が含まれる。

 その一つ、長岡市の5区エリアで街頭に立った無所属新人の野党統一候補は22日、10分弱の演説を自公政権からの転換や医療、農政問題などに割き、原発・エネルギー政策に費やしたのは1分ほどだった。

 原発の議論が低調な背景には、県民の関心があまりこの問題に向いていないという実情がありそうだ。

 5区で演説を聞いた無職女性(73)は、新型コロナウイルスの影響や物価の上昇傾向などで日々の生活が圧迫されているとして、「今は原発問題よりも地域医療や社会保障への関心が高い」と率直に語った。

 柏崎刈羽原発の再稼働自体が切迫していないという現状も、議論の低調さを招いている可能性がある。

 同原発ではテロを防ぐ核物質防護体制の不備が相次ぎ、東電は原子力規制委員会の検査を受けている。この検査に少なくとも1年はかかるとされ、同原発はその間、再稼働できない。

 UPZ内の上越市を含む6区の自民前職は「今の状況で再稼働できると思っている人など誰もいないのではないか」として、争点にならないとみている。

 各候補が新潟日報社の取材に対して語った、再稼働への賛否、エネルギー政策に関する考え方にも、そうした見方が色濃く反映されている。現状で柏崎刈羽の再稼働に賛成する候補者はいなかった。

 一方、原発・エネルギー政策については、与野党で政策の違いがにじむ。自民候補には「原発は必要」との考えが多いが、立憲民主党など野党系候補の多くは将来的な原発依存からの脱却を掲げている。