地域住民を集めて開かれた個人演説会。聴衆は検温や名簿記入の上、席の間隔を空けて着席した=阿賀町
地域住民を集めて開かれた個人演説会。聴衆は検温や名簿記入の上、席の間隔を空けて着席した=阿賀町

 31日投開票の衆院選は、新型コロナウイルス感染下で初めての全国規模の政治決戦となる。新潟県内各地で連日、候補者が訴えを響かせるが、屋内での集会を控えたり、握手を避けたりするなど従来の選挙戦とは様相が異なる。候補者は「感染下という条件は、どの候補も同じ」と話す一方で、「選挙で集団感染(クラスター)を発生させるわけにはいかない」と、感染対策に神経をとがらせている。

 「集会が開けず、支持を固めきれていない」。県内のある陣営は、支持者を集めて候補者の思いをじっくりと伝える場を設けられない現状を憂えた。

 多くの陣営が、集会は票固めに有効だとするが、「感染下では開きづらい」と二の足を踏んでいる。感染対策を講じた上で、従来より集会の回数を減らし、定員を絞って対応する陣営もあるが、街頭演説や選挙カーでの街宣を増やす傾向が強い。

 ただ街頭演説でも、特有の苦労があるという。屋内での集会を減らした別の陣営は「聴衆が立ったままの街頭演説では、話をじっくり聞いてもらいにくい」と危惧する。また、ある前職候補はマスク姿のままマイクを握るが、「表情が隠れるので、思いをダイレクトに伝えられない」と、もどかしさをにじませる。

 マスクで表情が隠れているのは候補者だけではない。前職候補は、聴衆の顔が見えにくいことを指摘。「これまでは表情から反応を読み取って演説内容を軌道修正していた。それができずに苦痛だ」と複雑な心境を明かした。

 候補者が有権者と握手する光景も影を潜める。握手の代わりに、拳や肘を突き合わせるスタイルが徐々に定着。ある候補は「握手の強さで確かめられる感触があったが、握手できず、やりづらい」と語る。

 選挙戦終盤に向け、各候補者が模索を続ける一方、投票日の「密」を避けて、期日前投票を済ませる有権者も多いという。

 有権者はどう感じているのか。子育て世代の女性(46)は「感染下だからこそ、会員制交流サイト(SNS)を使うなど工夫してほしい。そういった面からも、候補者の能力や柔軟性が分かる」と冷静に見ている。