31日投開票の衆院選では、来年夏の参院選に新潟選挙区から立候補する予定の自民党県議、小林一大氏(48)と、立憲民主党現職の森裕子氏(65)が県内候補の応援に駆け回っている。与野党対決となる両氏にとって、県内6小選挙区のうち五つで自民候補と野党共闘候補がしのぎを削る今衆院選は前哨戦といえる。来る本番に向けた両者の動きを追った。

◆小林氏 知名度向上に注力

 「本当に激戦。ぜひ皆さんの力を貸してください」

 衆院選も後半に入った26日夜、小林一大氏は新潟市江南区で開かれた自民候補の個人演説会に駆けつけた。支援の呼び掛けに先立ち、「参院選に向け、党の公認をもらって一生懸命頑張っている」と自己紹介も忘れなかった。

 小林氏が次期参院選で獲得を目指す参院新潟選挙区の議席は、改選2議席時代、県内の自民にとって「県議の指定席」と言われた。改選1議席となった2016年の参院選で県議出身の自民現職が敗れて以来、県議の国政進出は自民県議団31人の悲願だ。

 その思いを背負った新潟市秋葉区選出の県議、小林氏は19日の衆院選公示前から連日、県内の各選挙区に出向き、自民候補の個人演説会や街頭演説などで応援のマイクを握る。それが全県選挙の参院選に向け、県内各地で顔と名前を売り込む機会にもなるからだ。

 県内の自民は、19年の参院選でも野党共闘候補に敗れており、現在、新潟選挙区の議席はゼロ。県議団から国会議員を輩出する悲願以上に、自民県連としての議席奪還が至上命令だ。

 ただ、小林氏は県議で現在4期目と期数を重ねているが、地元以外でも広く名前を知られているとは言いがたい。参院選では知名度のある立民現職と激突する見通しで、知名度アップが切実な課題だ。

 上越市選出の楡井辰雄県議は、小林氏に6区候補の応援を要請するなどお膳立てをしている。「街頭演説は顔見せのいい機会になる」と話す。

 小林氏は「参院選の事よりも、まずは衆院候補全員の当選が県政の発展につながると思って応援に入っている」と強調する。その上で「行けば、各地の政治事情も頭に入る」と参院選に向けたメリットを語る。

◆森氏 4、6区を重点支援

 23日、新潟市江南区で開かれた立憲民主党候補の個人演説会。同党参院議員の森裕子氏はマイクを握り「党派を超えて、この国に民主主義と立憲主義を取り戻す」と力を込めた。

 森氏は2016年の参院選に、本県で初めて、共産党とも連携した野党統一候補として出馬して当選。この参院選は本県での野党共闘の礎を築いた「象徴的な選挙戦」と呼ばれている。

 来年夏の参院選で改選を迎える森氏。再び「オール野党態勢」の構築を目指すとみられる。

 今回の衆院選で森氏は県内5小選挙区で立つ県内野党統一候補の応援演説に駆け付けたり、秘書を陣営に派遣したりして支援する。森氏は「もう1年を切った参院選は今回の衆院選と一体だ。自分の選挙以上に一生懸命やっている。お互いさまだ」と強調する。

 森氏が特に重視するのは、自ら選対本部長を務める6区。さらに自身と、相手候補として名乗りを上げた自民党・小林一大県議の共通の地元である4区だ。

 とりわけ、森氏側には4区の勝利で、自分の選挙へ弾みを付けたいとの思惑がある。森氏も「6区は必ず勝たせる責任がある。4区では特に候補と一緒に街頭演説をやってきた」と力の入れ具合を語る。

 ただ、森氏は党副代表と参院幹事長という要職に就いていて、今回の衆院選で大阪府や沖縄県など他県の候補者の応援に出向く機会が多い。立民には、森氏のように全国的な知名度がある応援弁士が少ないため、県内選挙区に注力できないという実情がある。

 立民にとって最大の支持団体、連合新潟の牧野茂夫会長は、もどかしさをにじませる。「役職に就いているため、仕方ないが、県内も厳しい選挙区がある。最終盤は県内に集中してほしい」と期待を込めた。