婚姻届を提出し、記念撮影をするカップル。夫婦の姓を巡る問題は衆院選でも議論になっている=20日、新潟市中央区役所
婚姻届を提出し、記念撮影をするカップル。夫婦の姓を巡る問題は衆院選でも議論になっている=20日、新潟市中央区役所

 結婚の際に夫婦が同姓か別姓かを選べる選択的夫婦別姓。31日投開票の衆院選では、各党が公約で主張を展開している。元の名字を使い続けたいと願う当事者は、早期の導入を求める。一方で「家族の結びつきが弱まる」といった反対論もある。衆院選で論戦が交わされる中、県民の声に耳を傾けた。

 衆院選公示翌日の20日、新潟市の中央区役所で、カップルが婚姻届を提出していた。26歳妻と29歳夫は夫の姓を選んだという。

 「今までの名字がなくなるさみしさは少しある。免許証などの手続きも大変。でも、結婚の実感がある」と妻。夫は「価値観は人それぞれ。名字を変えたくない人が、それを選べるようになればいい」と語った。

■    ■

 厚生労働省の調査によると、妻が夫の姓になる夫婦は96%に上る。「名字を変えて苦労するのは女性ばかり。もっと自由でいいのでは」。新潟市西区のファイナンシャルプランナーで50代の石井順子さんは、最初の夫と離婚した後、再婚した。2度の結婚とも夫の姓を選んだが、選択的別姓には賛成だ。

 社会には「妻の改姓は当たり前」という空気がある。石井さんが銀行に勤務していた頃、女性行員は社用の印鑑を名字ではなく名前で作ることになっていた。「順子」という印鑑に「女は姓が変わるものという先入観」を感じた。

 前夫との間には息子が生まれた。離婚後も前夫の姓のまま暮らし、再婚で現在の石井姓に。小学生だった息子も夫と養子縁組して改姓したが、一時は精神的に不安定になった。「名字が変われば学校でも目立つ。ストレスだっただろう」

 今の姓は気に入っているが「もし当時、別姓を選べたら、私と息子が元の名字を使い続けることを考える余地はあった」とも思う。他にも銀行口座の名義変更など、改姓で手続きに追われ「女性って大変だと感じた」と石井さん。「政党を超えて有志が集まり、選択の幅が広がるように制度を改めて」と願う。

■    ■

 制度導入を特に待ち望むのが、別姓にできないために事実婚を選ばざるを得ないカップルだ。県弁護士会が8月、選択的別姓などをテーマに開いた講演会では、県内の当事者から「名字を変えたくないが、親から結婚しなさいと言われ悩んでいる」との声が寄せられた。

 小淵真理子弁護士(45)は、夫婦の姓について「改姓が不便というだけでなく、今までの名前で生きたいという内心に深く関わる問題だ」と強調。「導入しても『選択的』なので、同姓がいい夫婦はこれまでと変わらない」とし、未婚化や少子化の中で「結婚のハードルを下げることにもつながる」とみる。

 夫婦同姓を義務付ける国は日本だけで、国内でも選択的別姓を認める世論は広がりつつある。2017年の内閣府調査では容認が42・5%で、反対の29・3%を上回った。18~29歳と30代は容認が50%を超えた。

 ただ、選択的別姓に不安を持つ県民もいる。新潟日報社のアンケートで、新潟市西区の50代男性は「結婚への責任が軽視され、離婚が増えないか心配。母子・父子家庭が増えれば、子育ての充実にはつながらないと思う」と懸念。上越市の40代男性も「戸籍制度を根幹から覆す」と反対した。

 また、西区の40代女性は「生まれた子がどちらの姓を名乗るのか、親子の関係が姓によって崩れたりしないのか心配」とした。

 最高裁は6月、夫婦同姓を定める現行法を合憲と判断しつつ、夫婦の姓を巡る制度は「国会で論ぜられ、判断されるべき」と指摘。選挙中の衆院を含め、立法府の対応が注目されている。

◆男女とも賛成が多数 本社アンケート

 衆院選に合わせて新潟日報社が「女性活躍」などをテーマに実施したアンケートでは、回答した81人のうち選択的夫婦別姓について「賛成」が52人(64%)で、「反対」は10人(12%)だった。「分からない」は19人(23%)。

 男女別では、女性(全55人)のうち36人(65%)が賛成し、反対は4人(7%)にとどまった。分からないは15人(27%)だった。男性(全26人)も肯定派が多数で、賛成が16人(62%)に対し、反対は6人(23%)だった。