石見銀山(島根県大田市)と佐渡金山(新潟県佐渡市)の歩んだ道のりは対照的だった。

 1993年ごろから、文化庁の調査官が島根県の文化財担当者に「石見銀山は世界遺産になり得る」と示唆していた。県担当者は「県の事業として取り組めるのでは」と考え、島根県知事・澄田信義に構想を伝達。95年、澄田は世界遺産の登録に向けた検討を始めると表明した。県が主導する“トップダウン”の取り組みとしてスタートした。

◆「参院のドン」も動く

 その後、県は石見銀山を調査し報告書をまとめ、2001年に世界遺産登録の前提となる暫定リストに載った。そして06年、政府は石見銀山を世界遺産候補として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦した。

 ところが0...

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