2008年9月、文化庁はすでに世界文化遺産に登録済みの石見銀山(島根県大田市)に追加・拡大する形で、新潟県の佐渡を登録の前提となる「暫定リスト」に加える方針を示した。「佐渡に世界遺産としての価値があると認められた」。関係者は喜びに沸いた。
しかし、文化庁の方針に島根県側からは「昨年やっと登録されたばかりなのに、何で佐渡と統合しなきゃいけないのか」「石見の存在がかすんでしまうのでは」と不満や不安の声が上がった。
石見銀山は登録直前の07年5月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)から遺産の選定範囲が不十分として「登録延期」を勧告されていた。同年6月に勧告を覆...
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