世界文化遺産への登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)を巡り、日韓両政府の主張が対立している。その根本にあるのが「強制労働」に対する認識の違いだ。元徴用工訴訟問題について両政府が解決策を合意。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の来日で日韓首脳会談も実現するなど関係修復に期待は高まるが、韓国国会は佐渡金山の推薦申請の取り下げを日本政府に要求しており、先は見通せない。両国の主張の食い違いとは何か。「強制労働」を軸に、識者の分析を踏まえて考える。

◆動員の経緯でぶつかる主張

 労働を巡る日韓の歴史認識の対立は第2次世界大戦前までさかのぼる。朝鮮半島を植民地支配してきた日本政府は1939(昭和14)年、日中戦争の長期化...

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