
佐渡金山のシンボル「道遊の割戸」を背景に、取材に応じる岸田文雄首相(右)と佐渡博物館に所蔵されている朝鮮半島出身の労働者に関する資料のコラージュ
政府が「佐渡島(さど)の金山」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する方針を表明した28日夜の首相官邸。硬い表情で記者団の前に立った岸田文雄首相は、朝鮮半島出身者が強制的に働かされたとして反発する韓国を念頭に「さまざまな意見があることは承知している」と切り出し、こう強調した。「冷静かつ丁寧な議論が求められる」
10分余りの質疑応答で9回、同様の言葉を繰り返す姿からは外相時代の苦い経験が浮かぶ。
日韓は2015年に世界遺産登録された「明治日本の産業革命遺産」でも、歴史認識を巡って対立。この時の外相が岸田氏だった。登録の可否が決まる直前の日韓外相会談で登録に協力することで一致したにもかかわら...
残り1170文字(全文:1470文字)