日向灘に面した宮崎県日南市の沿岸部=8月8日午後7時17分(共同通信社ヘリから)
日向灘に面した宮崎県日南市の沿岸部=8月8日午後7時17分(共同通信社ヘリから)
緊急地震速報が鳴り、地面にしゃがみこむ人たち=8月8日午後4時44分、長崎市の平和公園
地震が起きた宮崎市で建物の外に避難した人たち=8日午後5時5分

 気象庁は8月8日、南海トラフ巨大地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっているとして、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。午後4時43分ごろ、宮崎県南部で震度6弱の地震があり、調査していた。最大規模の地震が発生した場合、関東から九州にかけての広範囲で強い揺れ、関東から沖縄にかけての太平洋沿岸で高い津波が想定されるとして1週間程度、注意するよう呼びかけた。政府は住民に備えの再確認を求めている。

 臨時情報は「南海トラフ地震に関連する情報」(臨時)として、2017年11月に運用が始まった。19年に「南海トラフ地震臨時情報」と名称が変わり、現在の基準に改定されている。臨時情報が発表されるのは今回の地震が初めてとなった。

 気象庁によると、震度6弱の地震の震源地は日向灘で、震源の深さは約30キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・1と推定される。松村祥史防災担当相は、関係省庁の災害対策会議で、最大震度6弱の地震で負傷者12人、家屋倒壊2棟との被害報告があったと明らかにした。気象庁は高知、愛媛、大分、宮崎、鹿児島の各県に津波注意報を出した。宮崎県で約50センチを観測。高知県と鹿児島県でも観測した。

 気象庁は地震と南海トラフ地震との関連調査のため、有識者で構成する評価検討会を臨時開催。平田直会長は記者会見で、普段より数倍発生する可能性が高くなっていると説明。防災行動が必要となる地域について「現時点で、どことは言えない」と述べ、被害が想定される全域で注意が必要だとしている。今回の地震は、想定震源域でM7クラスの地震が起きた「一部割れ」に当たるとの見解を明らかにした。

 気象庁によると、震源地は南海トラフ巨大地震の想定震源域の範囲内だった。

 警察庁は警備局長をトップとする災害警備本部を設置。陸海空自衛隊はヘリコプターなどで情報収集をしている。

◆地震関連情報(随時更新)

 「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の発表を受け、総務省消防庁は8日、南海トラフ巨大地震の防災対策推進地域に指定されている29都府県707市町村に対し、避難態勢の準備などを住民に呼びかけるよう求める通知を出した。

 JR東日本によると、同社管内では8日から当面の間、東海道線の平塚-熱海間、伊東線の熱海-伊東間、中央線大月-茅野間で速度を落として運行する。東北、上越、北陸の各新幹線は通常通りの運行を続ける。

 JR東海は、南海トラフ地震の注意情報を踏まえ、9日から紀勢線の特急「南紀」と、飯田線の特急「伊那路」、東海道線の特急「サンライズ瀬戸・出雲」を運休すると発表した。運休は1週間程度続ける予定。

 JR東日本によると、南海トラフ地震の注意情報を踏まえ、8日から当面の間、東海道線の平塚-熱海間、伊東線の熱海-伊東間、中央線大月-茅野間で速度を落として運行する。新幹線は通常通り運行する。

 南海トラフ地震の評価検討会の平田直会長は記者会見で、防災行動が必要となる地域について「現時点で、どことは言えない」と述べた。被害が想定される全域で注意し、「政府や自治体の指示に従っていただきたい。日ごろからの備えを再確認してもらいたい」と呼びかけた。

 南海トラフ地震の評価検討会の平田直会長は記者会見で、普段より数倍発生する可能性が高くなっていると説明した。

 気象庁は南海トラフ地震臨時情報で、震度6弱の地震はプレート境界の一部がずれたため発生したとの評価を示した。「引き続き注意深く南海トラフ沿いの地殻活動の推移を監視する」としている。

 気象庁は8日夜に出した南海トラフ地震臨時情報で、最大規模の地震が発生した場合、関東から九州にかけての広範囲で強い揺れ、関東から沖縄にかけての太平洋沿岸で高い津波が想定されるとして、注意を呼びかけた。

 宮崎県日南市の消防によると、地震で倒れたタンスの下敷きになり、80代女性がけがをした。意識はある。熊本県の消防によると、玉名市で70代女性が、八代市で50代女性が転倒し、けがをしたとの119番があった。

 鹿児島県大崎町の消防によると、町内で住宅1軒が倒壊した。けが人の情報はない。

 鹿児島県志布志市によると、市内の港近くでのり面が約50メートルにわたり崩落した。市民から「住宅が倒壊した」といった情報も寄せられているという。

 気象庁は記者会見で、震度6弱を観測した地震の震源地は、南海トラフ巨大地震の想定震源域の範囲内にあると説明した。

 気象庁は記者会見で、南海トラフ巨大地震との関連について「現在、評価検討会で調査している。検討結果を踏まえ対応する」と説明した。 

 岸田文雄首相は8月8日、官邸で開かれた会合で「被害情報を収集している。引き続き強い揺れに注意し、命を守る行動をお願いする」と呼びかけた。

 警察庁は8月8日、警備局長をトップとする災害警備本部を設置した。

 気象庁の記者会見が8月8日夕始まった。気象庁は記者会見で、今後1週間程度、震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけた。

 JR九州によると、宮崎県で震度6弱を観測した地震の影響で、運転を見合わせていた九州新幹線と西九州新幹線は8月8日午後5時20分までに全線で運転を再開した。 

 林芳正官房長官は緊急記者会見で、宮崎県で震度6弱を観測した地震と南海トラフ地震の関係は現在、調査中だと述べた。南海トラフ地震との関連調査のため、有識者で構成し、臨時で開催する評価検討会が始まった。林官房長官は「引き続き震度6弱程度の地震発生に注意し、自治体の避難情報やテレビ、ラジオなどの情報にも注意して行動してほしい」と呼びかけた。

 四国電力によると、宮崎県で震度6弱を観測した地震で、愛媛県の伊方原発に異常は確認されていない。林官房長官は緊急記者会見で、「九州電力川内原発をはじめとする原子力施設については、現在のところ異常があったとの報告は受けていない」と述べた。

 鹿児島県によると、午後5時時点で、鹿児島県内で人的被害の情報は確認されていない。

 気象庁は震度6弱の地震と南海トラフ地震との関連調査のため、有識者で構成する評価検討会を臨時開催すると発表した。

 気象庁は高知、愛媛、大分、宮崎、鹿児島の各県に津波注意報を出した。気象庁によると、宮崎港で50センチの津波を観測した。高知県の土佐清水でも20センチを観測した。

<南海トラフ地震臨時情報>東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が高まった場合に気象庁が発表する。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が発生した場合や、異常な地殻変動を観測した際、気象庁が有識者による評価検討会を臨時開催し、巨大地震との関連を判断する。「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」という種類がある。M8以上の地震が起き、後発地震の可能性が高まったと評価されると、危険度が高い「巨大地震警戒」が出て、沿岸住民らは1週間の事前避難が求められる。