山あいの斜面に雄大な田んぼが広がり、黄金色に色づき始めた稲がそよ風に揺れた。新潟県柏崎市高柳町石黒の「花坂の棚田」は、地域住民が守ってきた景観の美しさから、農林水産省が認定する「つなぐ棚田遺産」にも選ばれている名所だ。
花坂の棚田は、江戸後期の1794(寛政6)年に新田開発が始まったと伝わる。最盛期には40人ほどで約20ヘクタールを管理していたが、現在は地元の中村稔さん(86)と、石黒出身の田辺和幸さん(66)の2人が約3ヘクタールの田んぼで耕作をしている。2024年は9月14日に稲刈りを始める予定だ。
棚田の農業用水は、黒姫山中腹の湧き水から引いた長さ2・5キロの水路から供給する。湧き水は...
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