
2024年、新潟県内の基準地価国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点で調べる基準地の価格。不動産鑑定士が周辺の取引事例などから1平方メートル当たりの価格を算定する。国土交通省が1月1日時点で調べる公示地価と併せ、土地取引の指標となる。2024年の調査対象は全国2万1436地点。うち東京電力福島第1原発事故の影響が続く11地点は調査を休止した。で前年比9%の高い伸びを示した住宅地は、政令市新潟ではなく、県境近くの山あいでペンションや民家が並ぶ妙高市関川だった。急上昇の背景には、妙高高原地域などで投資ファンドが大型リゾート開発を計画していることがある。周辺の民宿や住宅を手に入れようとする業者や、移住のための物件、別荘を求める人の動きが活発化。地元関係者は「バブルだ。まだ上がるだろう」とみる。
「突然、関東から不動産屋が訪ねてきた」。妙高市関川でペンションを営む太田善万(よしかず)さん(73)は1カ月前、売却を持ちかけられた。周辺では宿泊施設が何件も売却されたと聞く。中には高齢化で跡継ぎもなく事業承継できないから「渡りに船」と売った人もいたという。
こうした動きが出てきたのは、外資系不動産投資ファンド「ペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)」が妙高高原地域や長野県の斑尾・野尻湖地域の一帯でリゾート開発を進めている計画が明らかになった2023年11月以降のことだと明言する。「自然豊かで手つかずの土地が多い地域が開発の対象となれば価値が高くなる」と太田さん。
PCGは高級ホテルを妙高杉ノ原スキー場の駐車場に建設し、2028年末の整備を目指すほか、段階的に2千億円規模の投資を行う計画だ。主なターゲットは海外を含む富裕層。関川は杉ノ原スキー場に近く、いま宿泊施設の購入に動いているのは、その利用客を想定したペンションや飲食店を計画する業者とみられる。別の民宿経営者も「手当たり次第に売却を打診してくる。地元の人間じゃないビジネスマン風の人をよく見かける」と証言する。

一般住宅の取引も活況だ。楽栄不動産(妙高市)の宅地建物取引士・北條めぐみさん(46)によると、空き家情報を自社のホームページなどに公開すると1週間足らずで10人以上の購入希望者が連絡してくるという。移住者の住まいや別荘の需要が高まっているとし、「内覧の日程を組むのが大変で、忙殺されている」と語る。
空き家など建物の大きさや築年数で標準的な価格を設定するが、実際の取引価格は「その倍」と北條さん。「200万円程度とみていた物件が600万円で成約したこともある。バブル現象になっている」。
県の統計では...