逆境を力に メダル肉薄

 レスリングを本格的に始めたのは19歳。菅芳松(72)はそれから10年で五輪のメダルに肉薄した。

 新発田市の山沿い、川東の生まれ。5歳の時、赤谷鉱山の事故で父を亡くした。5人兄弟の4番目。中学卒業後、名古屋へ集団就職した。自販機の部品を作りながら、夜学に通った。だが体を壊し、3年生半ばで帰郷。体調が回復すると、自衛隊に入隊した。

 教育訓練のため神奈川県横須賀市へ移動中のことだった。隣に座った隊員は新潟明訓高レスリング部の出身者。宿敵にいつも勝てず、悔しくて仕方がないから自衛隊体育学校に入りたいと言う。「ただ立っているだけだけど、彼の練習相手を引き受けた」

東京五輪後はボランティアで子どもたちに教えたいと話す=東京都

 ところが、菅は腕試しで出場した全日本社...

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