悔しさと安堵 思い交錯

 中村真衣にとって銀メダルを獲得した2000年シドニー五輪女子100メートル背泳ぎ決勝は競技人生のハイライトだ。だが、レースのことはよく覚えていない。「頭が真っ白ではなかったけれど、あのときの緊張感がよみがえってきそうで。あまり思い出したくないレースでもあるのかな」

 1996年のアトランタ五輪は4位だった。メダルラッシュが期待された日本競泳陣の中では最上位。だが、成田空港に降り立つと予想もしない事態に遭遇した。他競技のメダリストにメディアが集中し、そうでない選手には目も向けられなかった。「メダルを取らないと世間が認めてくれない」。高校2年生にとって衝撃的な体験だった。

「今となっては銀メダルでも良かったと思う」と語る=新潟日報東京支社

 それから4年。自由形の源...

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