渡辺恒雄さん死去を報じた12月20日付けの新潟日報1面
渡辺恒雄さん死去を報じた12月20日付けの新潟日報1面

 98歳で他界した読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏を一言で表現するならば「怪物」だろう。「才能や力量が普通の人とは違って、飛びぬけた実力者」(日本国語大辞典)だったからだ。確かに言論人でありながら政治家以上に政治家だったし、新聞経営者としても類まれな実績を残した。しかも渡辺氏はそれぞれの境界線をいとも簡単にひょいと跳び越えても違和感がなかった。ざっくばらんなべらんめえ調で疾走した「最後のフィクサー」だった。

 その渡辺氏が最後までこだわったのは「一政治記者」だった。渡辺氏が長く主催してきた勉強会の存在は取材現場へのこだわりを象徴した。オリジナルのメンバーは渡辺氏と同時代に政治部記者として切磋琢磨(せっさたくま)してきたマスコミ各社出身の政治ジャーナリストたち。田中角栄元首相の秘書となった早坂茂三氏(東京タイムズ)、三木武夫首相の...

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