ガザの惨状に目を向けてほしいと話す小堺浩一さん=十日町市松代
ガザの惨状に目を向けてほしいと話す小堺浩一さん=十日町市松代

 イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘で4万人以上の犠牲者が出ているパレスチナ自治区ガザ。新潟県立松代病院(十日町市松代)の医師、小堺浩一さん(60)は、海外メディアの映像などを基にパレスチナの惨状を描き、個展「最後の空が尽きた後に」で展示している。パレスチナに一日も早く平和が訪れることを祈りながら、「多くの人にパレスチナの現状に目を向けてほしい」と訴える。

 神奈川県厚木市出身だが、幼いころに祖父の出身地、松代地域の儀明などを訪れ、松代の豊かな自然に魅了された。「生き物が大好きで魚や虫、鳥を飼っていた。田んぼや小川がある場所で暮らしたいと思った」

 2009年、十日町市や津南町を舞台に開かれた大地の芸術祭を訪れ、思い出の地を歩き、松代への思いを強くしていった。

 当時は群馬県内の病院で働いていたが、2012年の大地の芸術祭で、古民家再生を手がける建築デザイナー、カール・ベンクスさん(82)と出会った。「松代病院は小さいけれど、いい病院。いらっしゃい」と誘われた。

 新潟県病院局に「異動がなく、松代病院だけで勤務することは可能か」と打診。「可能」との返事をもらうと「妻にも話さないうちにトントン拍子に話が進み」、2013年から松代病院の内科医として勤務、十日町市松代で生活している。

▽きっかけは「看護師との会話」

 一方、大学入学前からパレスチナを支援する集会に参加するなど、社会問題に関心を持っていた。学生時代の...

残り924文字(全文:1533文字)