
雪まつり開幕の前日、雨に見舞われる中、イルカやクジラの雪像づくりに取り組むひのスノーマンのメンバー=2月14日、十日町市下条3
新潟県十日町市下条地区の住民グループと、東京都日野市の住民が交流を始めて30年を超えた。きっかけの一つが、十日町雪まつりの雪像づくりに日野市の住民が参加したことだ。毎年、下条のチームがつくる雪像の隣に、都会から駆け付けて製作する。「ただいま」「おかえり」。出迎える下条の住民との絆は、家族のように育った。
この下条のグループは「四季の風」。過去に都会との交流を模索して、ボランティア活動などに取り組む「日野社会教育センター」を訪問。交流の契機にと雪まつりの見学を提案したところ、ボランティアの学生らが「ひのスノーマン」を結成。見学どころか早速雪像をつくり、コンテストに参加することになった。1992年のことだ。
最初からのメンバーでスノーマン代表を務める工業デザイナーの久保田周(ちかし)さん(61)は「下条のみんなに一から教えてもらった。初心者だけど、下条とは雪像のライバルのつもりで参加した」と振り返る。日野市の高幡不動尊や多摩動物公園のコアラ、新選組の土方歳三をテーマにした作品を、初めて扱う雪と苦闘し完成させた。
「当初はちやほやされ、お客さん扱いの部分も正直感じた」と久保田さん。だが、雪像づくりのほかにも山菜採りや花火大会、稲刈り作業や日野市でのバザーなど、四季折々の交流で距離を縮めていった。
四季の風も呼応し、雪像づくりを担う「愛ing下条」を同時に立ち上げ。2004年にはコンテストでスノーマンと上位を飾った。「スノーマンはチームワークがいい。最初は雪の扱い方も分からなかっただろうに。逆立ちしてもかなわないなと、彼らに刺激をもらえている」と愛ingの...
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