藤井聡太棋王(22)に増田康宏八段(27)が挑戦する第50期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第3局(主催・新潟日報社など、協賛・大塚製薬、ナミックス、小飯田工業、和田商会、ALSOK新潟綜合警備保障)が3月2日、新潟市中央区の新潟グランドホテルで開かれる。棋王に加えて竜王、名人、王位、王座、王将、棋聖の合計七冠を持ち王者の風格がある藤井棋王が3連覇を目指し、挑戦者の増田八段はタイトル戦初登場での奪取を狙う。フレッシュな顔合わせとなった決戦は第2局まで棋王の2勝0敗。王者が連勝しタイトル保持を達成するのか、挑戦者が1勝を上げ押し返すのか、新潟対決に注目が集まる。

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 安定した強さを誇る若き王者に、増田八段がどのように挑むか。2017年、藤井棋王が最多の29連勝を達成したときの相手が増田八段だった。あれから7年以上がたち、増田八段は大きく成長を遂げた。

増田康宏八段

 棋士養成機関の奨励会では大器と呼ばれ、14年に16歳でプロ入り。16年には新人王戦で優勝するなどしたが、その後はそれほど目立った活躍はなかった。それでも努力を重ね、24年、名人戦挑戦者を決める順位戦で最上位のA級に上り詰めた。

 今期の棋王戦本戦トーナメントでは安定した指し手を披露、7連勝でタイトル初挑戦を果たした。着実に実力を向上させ、棋王奪取に闘志を燃やす。センスの良い将棋で、「相掛かり」戦法を得意としている。

▽課題が残った

 藤井棋王は23年、史上初の全八冠制覇を成し遂げ、しばらくは全てのタイトルを独占し続けると思われていた。だが、24年に叡王戦5番勝負で伊藤匠叡王に敗れ、全八冠から七冠へ後退。後手番になったときの戦型選択や作戦に苦労している面があり、「課題が残った」と振り返っている。

 失冠した藤井棋王だったが、その後は従来の力を見せた。棋聖戦と王位戦でそれぞれ5連覇を飾り、「永世棋聖」と「永世王位」という名誉ある称号を手にした。

 2024年10〜12月の竜王戦7番勝負では、佐々木勇気八段を挑戦者に迎えた。佐々木八段の序盤戦術に苦しんだが、圧倒的な終盤力は健在。対戦成績4勝2敗で竜王戦4連覇を飾った。

藤井聡太棋王

▽戦型の選択は

 これまでの両者の対戦成績は、藤井棋王が8勝1敗とリードしている(未放映のテレビ対局を除く)。最新の戦法を得意とする藤井棋王に、増田八段がどのような戦型を用いるのか。...

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