通学の高校生でごった返す高田駅前。若者の人口減による利用客減少が今後の課題になる=上越市
通学の高校生でごった返す高田駅前。若者の人口減による利用客減少が今後の課題になる=上越市

 北陸新幹線開業に伴い、JRから経営分離された並行在来線を引き継いだえちごトキめき鉄道(新潟県上越市)が始動してから3月で10年となった。この間、観光誘客に注力するが沿線人口の減少や新型コロナウイルス禍で利用客は伸び悩み厳しい経営を強いられており、地域の鉄路は試練が続く。(2回続きの2)

 朝の高田駅。列車が到着すると制服姿の高校生が次々とホームに降り立ち、改札口から駅前のアーケードへと流れていく。

 えちごトキめき鉄道が最もにぎわう時間帯は朝の通学時だ。高校が集中する上越市高田地域には遠方から通う生徒も多い。妙高市の妙高高原地域から通学を続けた男性(18)は「トキ鉄がなければ毎日上越市の学校に行くのも難しかった。時間も正確なので安心して通学できた」と感謝する。

 トキ鉄にとっても通学客は収益の重要な柱の一つだ。2023年度の通学定期収入は1億6千万円超(税込み)に上り、全旅客収入の2割を占める。

 しかし、この若者層は今後大きく減少する見込みだ。2020年の国勢調査で、上越、妙高、糸魚川市の15〜19歳の人口は計約1万700人。国立社会保障・人口問題研究所(東京)の推計によると、35年には約6900人となる。実に35%も減少するとの予測だ。

 高校生の減少を見据え、...

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