
観桜会を前に木の手入れをする桜守の小山秀さん(左)と板倉美咲さん=上越市の高田城址公園
第100回高田城址(じょうし)公園観桜会が3月28日、新潟県上越市で開幕する。春の上越ににぎわいをもたらしてきた観桜会だが、新型コロナウイルス感染禍で入り込み数は激減。誘客のあり方は転換期にある。多くの桜が老木となっていることも課題で、市民らによる長寿命化の取り組みも進む。長い年月を咲き継いできた桜。それをめぐる人たちの思いをたどった。(上越支社・平形凪紗)=2回続きの2=
「100年以上前に植えたと思われる木です。一部は枯れていても、肥料をあげたり、土の状態を良くしたりすれば、まだまだ新しい枝が出てきます」
上越市の高田城址(じょうし)公園で3月16日に開かれた桜の観察会。市民団体「エコ・グリーン」の青木ユキ子さん(75)はこう説明した。
現在、高田城址公園とその周辺には、ソメイヨシノを中心に約4000本の桜がある。寿命は60年とされるが、公園内には樹齢100年超と推定されるものもあり、エリアによって樹勢が衰えた木が目立つ。
市のシンボル的な存在である高田城址公園の桜は、市民に支えられながら長い時代を咲き継いできた。桜の歴史は植樹や保全に携わる人々の活動史でもある。

1909(明治42)年、高田の在郷軍人団が旧陸軍第13師団の兵営地に2200本の苗木を植えたとの記録が残っており、観桜会会場の最初の桜と考えられている。
戦後の48年には、...
残り1167文字(全文:1746文字)