古くから川を利用した舟運が盛んで、近現代には鉄道や幹線道路が整備された県央地域では、交通に関連のあるエピソードは多い。ものづくりを究める職人の街だからか、趣味にこだわり乗り物に関するグッズを収集する人も見られる。一方、時代の流れの中で、人々の記憶から薄れていってしまうものもある。県央と乗り物のゆかりを追ってみたい。

 弥彦山(634メートル)にかかるロープウエーの山頂駅を出ると、さらに乗り物が二つある。山の反対側の弥彦山スカイライン駐車場へ下る斜面を往復する「クライミングカー」。その駐車場そばに立つ高さ100メートルの回転昇降式展望塔「パノラマタワー」。ともに開業から55年を迎えたレトロな雰囲気の乗り物だ。その成り立ちと歩みを探った。

 二つの乗り物の誕生はロープウエー開業から12年後の1970年6月22日。マイカーが急速に普及した時代だ。県の観光道路、弥彦山スカイラインの開通に合わせ、ロープウエー運営会社の弥彦観光索道(さくどう)が整備した。

 当時...

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