横田めぐみさんの拉致現場に近い寄居浜を見つめる同級生の小栗武さん=新潟市中央区
横田めぐみさんの拉致現場に近い寄居浜を見つめる同級生の小栗武さん=新潟市中央区

 「ごく普通の女の子だったのに。横田のことを思うと、海や砂浜が怖く感じて、ずっと来られなかった」。新潟市中央区の寄居浜に、約30年ぶりに足を踏み入れた。新潟市で北朝鮮に拉致北朝鮮が日本に暮らす人々を無理やり連れ去る「拉致」を行い、いまだに多くの被害者が帰国を果たせていない問題。2002年9月の日朝首脳会談で北朝鮮の当時の指導者・金正日(キム・ジョンイル)総書記が日本人を拉致した事実を初めて認める。日本政府が認定する拉致被害者は17人。このうち5人が02年10月に帰国した。政府認定被害者のほか、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない「特定失踪者」が400人以上(民間団体調査)いる。された横田めぐみさん1977年11月15日、新潟市立寄居中学1年の時の下校中に失踪。2002年9月の日朝首脳会談で北朝鮮は拉致を認めた。北朝鮮はめぐみさんは「死亡」したとして04年に「遺骨」を出したが、DNA鑑定で別人のものと判明。北朝鮮の説明などに不自然な点が多く、日本政府は生存を前提に再調査を求めているが、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」としている。=失踪当時(13)=は5日で61歳。小中の同級生、小栗武さん(60)はこの春、県立高校の教諭を退職し、「拉致問題解決のために何でもやりたい」と意気込む。めぐみさんの拉致現場に近い新潟青陵高(新潟市中央区)で常勤講師を務め、若い世代に拉致問題を伝えようと力を注ぐ。

 新潟小6年の時、めぐみさんと同じクラスだった小栗さん。話す機会は少なかったが、いつも優しい笑顔で、積極的に学習に取り組んでいた姿が印象に残っているという。寄居中では別のクラスで、めぐみさんがいなくなったことを友人から聞いた。

 高校、大学進学後も近所の新潟中央警察署にはめぐみさんの「尋ね人」のポスターが張られていた。「まだ見つからないのだと通る度に思った。それでもどこかにいると信じていた」。

 2002年の日朝首脳会談で...

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