自宅前で、サリムさん(左)と談笑するアンさん=9月
自宅前で、サリムさん(左)と談笑するアンさん=9月
イスラエルが占領する東エルサレムにあるシュアファト難民キャンプ周辺。イスラエル当局に住居を破壊された男性(左)の話を聞くパレスチナ人医師のサリムさん。奥はイスラエルの入植地=9月撮影
住宅が密集するシュアファト難民キャンプに住む兄弟。画面右、分離壁の向こう側にあるイスラエルの入植地が迫る=9月撮影、東エルサレム
別のパレスチナ人難民キャンプのゲートに掲げられた鍵のシンボル。サリムさんはじめ、難民は破壊された家の鍵を持ち続けているといい、故郷への帰還の意思が込められている。左は閉鎖されたUNRWAの事務所=9月、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸
弾痕が残る慈善協会事務所の窓から、シュアファト難民キャンプを眺めるサリムさん=9月、東エルサレム

 信じられない光景だった。山のように積み上げられたゴミ、くすぶり続ける煙、鼻を突く悪臭。子どもたちの遊び場所は狭い路地で、皆タバコを口にくわえている。「隣人」の惨状を目の当たりにして思わず尻込みした。

 イスラエルに住むユダヤ人の理学療法士アン・アドモンさん(69)は2007年、イスラエルが占領する東エルサレムのパレスチナ人難民キャンプを初めて訪ねた。衛生状態は悪く、貧困や薬物の乱用がまん延していた。

 キャンプの名前は、シュアファト。アンさんはこう振り返る。

「まるで『収容所』のようだった。イスラエル占領下で、生きる尊厳がないがしろにされている人々の苦難や怒りを理解しようと努めるのに必死だった」

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