「昔は鍛冶屋になりたくなかったが、ものづくりが好きになってしまった」と語る日野浦司さん=三条市塚野目1
「昔は鍛冶屋になりたくなかったが、ものづくりが好きになってしまった」と語る日野浦司さん=三条市塚野目1

 工業などの分野で優れた技能を持つ人を表彰する本年度の「現代の名工」に、三条市の鍛冶職人、日野浦司さん(69)が選ばれた。鉄と鋼をハンマーでたたいて思い通りに成形する「自由鍛造」により、鉈(なた)や包丁を生み出してきた。「名誉ある名工に選ばれてうれしい。この先も長く使ってもらえる道具を作りたい」と喜ぶ。

 100年以上前に祖父が創業した鍛冶屋の3代目。若い頃は鍛冶の仕事を嫌って会社勤めをしていたが、2代目である父の強い希望により職人の道へ入った。

 独学で鍛造や熱処理など金属の知識を学び、技術を磨いた。刃の部分を硬い鋼で、全体を柔らかい鉄で構成するために熱してたたいて一つにする「鍛接」を行い、完成品まで手がける。「頭に描いた物を現実にできるのがこの仕事の魅力」と語る。ただ、...

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