(c)2025 20th Century Studios
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 力強い歌声と社会性に富んだ楽曲で人々を魅了し続けてきた、米ロック界を代表する歌手ブルース・スプリングスティーン。彼の若き日々にスポットを当てた「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」は、そんな現役の表現者の繊細な内面に静かに迫った伝記映画である。

 華やかな演出はなく、1980年代の複雑な米国社会を生きる一人の青年としての葛藤を、誠実なタッチで描き出す。新曲を生み出す孤独な闘い、彼の人生に影を落とす幼少期の記憶が、見る者の胸を締め付ける。

 伝記小説が原作で、映画の舞台は81年から82年にかけての米国だ。「明日なき暴走」のヒットや世界ツアーで名声を得たスプリングスティーン。だが成功者である重圧...

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