東京財団の柯隆研究員
 東京財団の柯隆研究員

 昨年11月に高市早苗首相が台湾有事は「存立危機事態になり得る」と国会答弁したのをきっかけに日中関係は日増しに悪化している。実は事の本質は台湾有事だけではない。1972年の日中国交正常化以来、両国は台湾に加えて歴史や領土問題を巡って政治的対立を繰り返してきた。この50余年の矛盾が一気に噴き出したのだ。

 国交正常化当時は中国経済が破綻寸前の状態にあって、中国人の日本を見る目にいくらか謙虚さがあった。当時の日本人も中国文化への憧れがあって、戦争で中国に被害を与えたため、中国の改革・開放に協力したいとの意思が強かった。

 90年代に入って、中国経済の離陸とほぼ同じタイミングで日本のバブルが崩壊し「失わ...

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