次男の楽を抱きかかえ、刈り取った稲を稲架に掛ける諸岡江美子。夫の龍也、長男の遊の家族4人で作業した=2025年10月、新潟県妙高市(撮影・林昌三)
 次男の楽を抱きかかえ、刈り取った稲を稲架に掛ける諸岡江美子。夫の龍也、長男の遊の家族4人で作業した=2025年10月、新潟県妙高市(撮影・林昌三)
 諸岡江美子ら家族4人は築約150年の古民家で暮らす。広い居間は子どもたちの遊び場だ=2025年9月、新潟県妙高市(撮影・林昌三、魚眼レンズ使用)
 諸岡江美子がかつて民泊の宿泊者に渡していた「たがやすノート」。虫の鳴き声に気づいたときのことを自らイラストで描いた
 諸岡江美子らが住む古民家の土間。だるまストーブや大きな釜が置かれている=2025年9月、新潟県妙高市(撮影・林昌三、魚眼レンズ使用)
 諸岡江美子の年表
 タイトルカット

 新潟県妙高市の山奥で、どっしりと構える築約150年の古民家。諸岡江美子(もろおか・えみこ)(37)に長男の遊(ゆう)(5)が駆け寄り、Tシャツを握りしめる。右腕に次男の楽(らく)(1)を抱えたまま、遊に差し出されたお菓子をほおばり「おいしいね」とほほ笑んだ。

 ▽虫の鳴き声

 千葉県船橋市で生まれ、短大卒業後、東京都内の保育園で働いた。園で「問題行動」を起こすと思われていた子どもが公園で生き生きと遊ぶ姿を見て、自然の中で保育をしたいと考えるようになった。

 退職し、野外教育を学べる妙高市のアウトドアの専門学校に入学。新潟の風土に引かれ、卒業後は保育の現場に戻らず、津南町で地域おこし協力隊に加わり、...

残り1985文字(全文:2285文字)